お見合いの失敗理由は妹が美し過ぎたせい。

12.妹の未来2

「カロリーネ、君の妹君の処遇が決まったようだよ」
「どうなりましたの?」
「城で事実上の軟禁にされるようだ」
「そうですか……」

 ある意味、妥当な落としどころでしょう。
 皇后とはいえ、過失とはいえ、帝国の皇女を殺したに等しい行為。お咎めなし、にはできません。
 表向きは「ノイローゼの皇后を慮って」とのことですが、実際は、再び同じような行動を取らせないための処置でしょう。
 上の三人はともかく、今後、生まれてくる子供が再び……とならないように。
 同じ悲劇を繰り返さないための苦肉の選択だったのでしょう。
 分かります。
 私も、ユリアが二度と同じ過ちを繰り返さない、と断言できません。
 まったく同じとはいかないまでも、違う形で、やらかしてしまわないとも限りません。
 無駄に行動力のある妹ですから。
 自由を愛する妹にとっては、今の状態は苦痛でしょうね。

「妹君のことだが……、次に帝国から連絡がくるのは、彼女が急な病になる話かもしれない」
「そのような話がされているのですか?」
「いや、まだ、だ。妹君は大変健康体だ。今後も子供に恵まれるだろうから」
「子が望めなくなったら、という話でしょうか?」
「ああ、可能性は高いと思うよ」

 やらかした皇后()の未来は悲惨なものです。
 戒律の厳しい修道院行きにされないだけマシなのかもしれませんね。
 帝国としても皇后が修道院行きなど醜聞でしょうし、なによりも、フランツ皇帝陛下は前皇帝の甥。貴族たちの協議の末に、皇帝に選ばれた方です。
 若い皇帝ということもありますが、波風立てたくないという事情もあるでしょうし……。噂では、いまだに皇帝位を諦められない皇族は少なからずいらっしゃるようですしね。妹が早々に病で亡くなるという悲劇にあっていないのも、帝国側の事情が関係しているのでしょう。
 もっとも、子供を産めるだけ産まされる役目を課されたのは、気の毒ですけれど。今のユリアに出来ること、といえばそれだけです。

「そういえば、あなた」
「ん? なんだい?」
「ユリアの件ですが、皇帝陛下は承諾していらっしゃるのかしら?」

 あれだけ妹を熱烈に愛される方です。
 ユリアの処遇に賛成しているとは思えないのですが……。

「カロリーネの懸念はもっともだ。彼の国の皇帝には内密で事が進む手はずになっている」
「内密ですか……。知れば荒れますわね」
「ああ、だから内密なんだよ」
「途中で気づかれるのではありませんか?」
「その心配はなさそうだ。皇帝は皇后の分も仕事を回されて、多忙を極めている様子だ」
「二人分の仕事量は大変ですわね」
「その通りだ。今までは皇帝の母君が皇后の穴埋めをしていたが、それが無くなった状態だから余計にだろう」

 伯母様……。
 まあ、本来であれば手伝う必要などありませんものね。
 通常に戻ったとなれば、文句を言うことなどできません。
 あの帝国で一番の権力を持っているのは、実は伯母様ですから。ユリアは味方に付ける人物を見誤っていました。
 皇帝に愛されているだけで、彼の国の皇后として君臨などできません。
 そして、烈女として有名な伯母様が手を緩めることなどなさらないでしょう。

「大人しくしていれば、幸せだったでしょうに……」

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