ただいまヒロイン代理中!
「お前、ここにいたのか」

 突然、後ろから声がした。

 急いでバッと振り向くと、そこには蓮がぽつんと一人で立っていた。

 背景が白いせいか、黒髪に黒い服の蓮は、笑っちゃいそうになるくらい目立っている。

 でも、次の瞬間。目頭がぐっと熱くなって、私の中で張り詰めていた糸がふっと切れた気がした。

「蓮!」

 自然と足が、蓮の元へと走り出す。

 蓮は、駆け寄ってきた私に目を向けると、「探したぞ」とフッと笑みを浮かべた。

「ねえ、蓮……。ここはどこなの? 何かの悪い夢だよね?」

 私の問いに、蓮はさっとこの空間に視線を寄こすと、淡々とした声で答えた。

「夢じゃない」

「えっ?」

「ここは、俺がいる世界の本当の姿。主人公を失った物語の成れの果てだ」

「主人公って、美月さんのことだよね? ってか、何で主人公なのにいなかったの? あと、どうしてこんなことに――」

「とりあえず落ち着け! 俺がちゃんと説明するから」

「わ、わかった……」

 知りたいことが多すぎて、つい質問攻めにしてしまった。

 私は深呼吸をして、いったん冷静になってから、蓮の次の言葉を待つ。

 蓮は一つ咳ばらいをすると、真っ白な空間を見わたしながら話し始めた。

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