ただいまヒロイン代理中!
「あのね、詩乃ちゃん……。正直なことを言うと、ちょっと困るかな……」

 戸惑いを隠しきれないような、引きつった笑みを浮かべて、舞さんがやんわりと私の頼みを断った。

「だって、あの小説は、もう17年も昔――、17歳だった私だったから書けたものなんだよ。今の私が書き継いだところで、いい作品になるとは思えない」

「そんなことっ……!」

「あるの。そのときにしか書けない物語って、必ずあるの。私はそれが、この携帯に残っていた小説だと思ってる。それに、もう小説なんて全然書いてないし。だから、その……」

「待ってください!」

 さえぎるように声を上げたとたん、舞さんがハッと息をのむ声が聞こえた。

「たしかにあの小説は、あの時代に舞さんが17歳だったからこその作品なのかもしれません。でも、あの話はまだ終わっていないんです」

 舞さんが、少しだけ目を見開く。

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