ただいまヒロイン代理中!
「……乃、詩乃」

 ふいに背後から名前を呼ばれて、肩を軽くトントンと叩かれた。

 ドキッとして、おそるおそる振り向くと、そこには懐かしい顔が、私のことをじっと見下ろしていた。

「蓮っ! よかった、会えた……っ!」

 さっきまでのマイナスな気持ちが一瞬で吹き飛んで、安心感で一気に涙があふれそうになる。

 蓮はというと、「……ったく、おおげさだな。何も泣くことないだろ?」と、呆れた口調で苦笑いした。

「だって……、マイさんを見つけて、完結まで書いてもらったはずなのに、この世界が何も変わってないのがショックで……」

「いや、ここは成れの果ての世界じゃねーよ」

「え?」

「ここは俺が作った一時的な空間。お前とまたサシで話したくてな」

 蓮がいたずらっ子みたいに、ニッと笑う。

 ……ったく、まぎらわしいことをするんだから。私の涙を返してよね。

 って、ちょっと待って!

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