ただいまヒロイン代理中!
「いやいやいや、サシで会って大丈夫⁉ 美月さんという彼女の存在がありながら、意図的に私と二人きりって……」

「美月には、あらかじめ話を通している。逆に『お礼を言ってこい』って送り出されたよ」

「えっ⁉ それって……」

「俺の予想通り。マイが続きを書いてくれたおかげで、美月は無事に戻ってきた。俺たちが暮らす世界のループも止まって、今では平穏な日常が送れるようになってるよ」

「本当に?」

「ああ」

 蓮がうなずいたとたん、なんだか自分のことみたいに嬉しくなって、私は蓮の前でぴょんぴょんジャンプした。

「やったあ! 蓮、本当によかったね!」

「ああ。でも、この小説の世界が変わるきっかけを作ってくれたのは、詩乃なんだよ」

 蓮は少しだけはにかむと、私の前で静かに頭を下げた。

「本当にありがとう」

「べっ、別に頭を下げてまでお礼しなくていいって! 蓮がこんなに改まってるのを見ると、なんだかこっちが照れるから……」

「いや、させてくれ。お前とこうして直接会うのも、これで最後だろうからな」

< 168 / 176 >

この作品をシェア

pagetop