花囲い
「ようやく付き合う決心ついた!?」
「ううん」
その反応で気持ちが重くなる。
「私たち、付き合ってないんだよ」
「うん。まだね」
「付き合うつもりもないし」
「まだ、ね」
そう言いながら、美咲は笑っていた。なにも分かっていない笑い方だった。
「井𡈽くんが登下校勝手についてきたり」
「親切じゃん」
「私の予定を、お母さんに話したり」
「沙羅のお母さんと仲いいんだね」
「そういうことじゃなくて!」
少し声が大きくなる。美咲はキョトンと目を丸くした。私は深呼吸する。
「知らない番号からメッセージが来るの」
「え……と?」
「遠回りして帰ったのにまた会うし、ハンカチも落としてないのに持ってるし、ミルクティーだって、」
「ちょ、ちょっと沙羅? 何の話?」
やっぱり、分かってもらえない。
私は俯いて膝の上で手を握る。