花囲い
「沙羅……」
美咲は少し考えてから、言葉を選ぶように言う。
「沙羅ってさ」
「うん」
「ほら。ちょっと、考えすぎるところあるじゃん」
その言葉は私を優しく絶望させた。
「井𡈽くん、沙羅のこと大事にしてるだけじゃない?」
「でも、」
「沙羅のことが、好きだから」
「いつか井𡈽くんの気持ちが沙羅にも分かるといいね」と、美咲は遠慮がちに微笑んだ。その見たことのない表情に、私は崖から突き落とされるような気分になる。
誰にも理解されない孤独感。友達にでさえ気を遣わせる。私はもう誰にも相談するべきではない。きっと、孤立を一層深めることになる。
美咲は私の背中をゆっくり撫でた。私はもう、何も言えなかった。