花囲い

第7話 選択

 翌日学校へ行くと、美咲が真面目な顔をして私を呼んだ。

「沙羅、少しいい?」

 昼休み、屋上へ連れて行かれる。フェンスの向こうではグラウンドから体育の声が聞こえていた。

 美咲は私をまっすぐ見て言った。

「井𡈽くん、昨日泣いてた」

 美咲はそこまで言って言葉を詰まらせる。

「沙羅がいなくなって、自分のせいかもしれないって。先生も心配してた」

 私は空を見上げた。雲一つない。ただ青かった。

「沙羅」

 美咲が声を落とし、そして意を決したように切り出した。

「病院、行ってみない?」

 それは世界を止める残酷な言葉だった。

「最近、眠れてないんでしょ。顔色悪すぎるよ。みんなみんな沙羅を心配してる」

 美咲は言いづらそうに続ける。

「ストレスとか、不安が強いと、人を怖く感じることもあるんだって」

 私は何も答えられなかった。井𡈽くんはそこまで話を進めていたのだ。私がおかしいという結論が、私の知らないところで出来上がっている。
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