花囲い
卒業式の日はすぐにやって来た。
教室には笑い声があふれ、それぞれが重い思いの写真を撮っている。寄せ書きを交換したり、わんわん泣いている子もいた。
私はただぼんやりと窓の外を見ていた。
「沙羅」
声をかけて来たのは美咲だった。
「卒業おめでとう。連絡するからまた会おうね」
「おめでとう。うん、もちろん」
「大学行っても仲良くね」
そう言って、美咲は井𡈽くんに笑いかけた。
「沙羅のことよろしく」
「当然」
井𡈽くんは穏やかに頷く。
もはや誰も疑わない。誰も止めない。これが一番自然な未来なのだと信じているのだ。