あなたのほくろには、沼りません!
伊達メガネの下は
「あっ……泣きぼくろ」
高梨澄花は、先輩社員の岸本崇人の右の目元をじっと見つめた。
同じプロジェクトメンバーの崇人は、澄花の横で目をしばたたかせた。
トレードマークの銀縁のメガネは外している。問題のほくろは、前髪とメガネのフレームでうまく隠れる位置にある。だから入社して五年も経つのに、澄花は気付かなかったのだ。
「あー、これ? っくしゅん!」
返事と同時に、大きなくしゃみをした崇人は、本当に辛そうだ。
いつもはきっちりセットされている髪も数本乱れて、顔に筋を作っている。
メガネを外した素顔に、赤くなった目元。とどめの泣きぼくろが、いつも泰然としている崇人の表情を崩していた。
内心の動揺を隠しながら、「ええ」と澄花は頷いた。
幸いにも顔には出ないたちだ。崇人は気にした様子もなく、涙をタオルで拭いながら答えた。
「実はあるんだよね、ほくろ。目立たせたくなくて、伊達メガネかけて隠してる」
「伊達なんですか、メガネ」
「そう。なんか、人相学的には、男の泣きぼくろって、浮気性って見られるらしいんだよね。俺、回転率は早いけれど、付き合っている間は一途なのに……っくしゅん!」
くしゃみでイマイチカッコつけることが出来ない崇人に、澄花は視線を向けた。
「岸本さんくらいの営業マンでも、そんな小さなこと気にするんだ」
「そりゃあ、気にしますよ、営業マンですから」
独り言のつもりだった。なのに、崇人に聞きとがめられた澄花は、瞬時に固まった。
高梨澄花は、先輩社員の岸本崇人の右の目元をじっと見つめた。
同じプロジェクトメンバーの崇人は、澄花の横で目をしばたたかせた。
トレードマークの銀縁のメガネは外している。問題のほくろは、前髪とメガネのフレームでうまく隠れる位置にある。だから入社して五年も経つのに、澄花は気付かなかったのだ。
「あー、これ? っくしゅん!」
返事と同時に、大きなくしゃみをした崇人は、本当に辛そうだ。
いつもはきっちりセットされている髪も数本乱れて、顔に筋を作っている。
メガネを外した素顔に、赤くなった目元。とどめの泣きぼくろが、いつも泰然としている崇人の表情を崩していた。
内心の動揺を隠しながら、「ええ」と澄花は頷いた。
幸いにも顔には出ないたちだ。崇人は気にした様子もなく、涙をタオルで拭いながら答えた。
「実はあるんだよね、ほくろ。目立たせたくなくて、伊達メガネかけて隠してる」
「伊達なんですか、メガネ」
「そう。なんか、人相学的には、男の泣きぼくろって、浮気性って見られるらしいんだよね。俺、回転率は早いけれど、付き合っている間は一途なのに……っくしゅん!」
くしゃみでイマイチカッコつけることが出来ない崇人に、澄花は視線を向けた。
「岸本さんくらいの営業マンでも、そんな小さなこと気にするんだ」
「そりゃあ、気にしますよ、営業マンですから」
独り言のつもりだった。なのに、崇人に聞きとがめられた澄花は、瞬時に固まった。
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