ある熱帯の天使
1.「ある熱帯の天使」
ガルシアは言った。
「遊ぼうよ、お兄ちゃん」
ということで、僕と妹のガルシアはデパートに向かった。天気は晴れていたから風が気持ちよかった。道路のアスファルトには昨日の雨が残ってる。太陽の日差しからくる光が雨の水溜まりにきらきら光ってる。
「綺麗だね、ガルシア」
僕は言った。
「綺麗だね、お兄ちゃん」
ガルシアが指を差していたのは、花に囲まれた位置にある大きな時計台だった。
「はは」
僕は乾いた笑い声でガルシアに返した。
「楽しいかな、妹、今日は日曜日だからね」僕はこう言った。デパートの中は人だかり、沢山の人がいる。うじゃうじゃいる。
「目眩がしてきたよ、ガルシア」
僕は人混みが苦手だった。妹は大丈夫かな。
「大丈夫、お兄ちゃん」
妹は僕を気遣った。本当に優しい子だ。大好きだよ。僕はが優しいから好きだった。デパートの通路の店がひしめき合う中、中心にあるベンチで僕らは休んだ。僕は視線を落とし、俯いた。
「お兄ちゃん、ジュースを買ってきてあげるわ」ガルシアは僕の代わりにジュースを買いに行ってくれるみたいだ。僕は何も言ってないのに。
ガルシアの後ろ姿を見ていると、心配になるのは、僕が兄だからか、ガルシアが美人だからか。特に不安な気持ちは、ガルシアが無邪気に歩く後ろ姿を見た時によく感じた。外から自動扉を開いて、ガルシアがやってくる。2つの小さなペットボトルを持って。
「お兄ちゃん、待った?」
ガルシアは僕にコーラのジュースをくれた。
「待ってないよ」
グレープのジュースをガルシアは飲んだ。その横顔はとても綺麗だ。僕は美しい妹を持ったことを不幸に思った。どんな女の子よりも、大切に思えてしまう。これは幸せの中にある不幸なことだ。
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