おかえりが聞こえる病室
先生がもう一度目線を合わせる。

「亜美ちゃん。」

「今から腕をきれいにするね。」

亜美は緊張で肩に力が入る。

「冷たいよ。」

腕にひんやりとした感触が伝わる。

「びっくりしたね。」

先生は穏やかな声で続ける。

「次は少しだけちっくんするよ。」

「先生が終わったって言うまで、ママのおてて握っててね。」

亜美は唇をぎゅっと結んだ。

「……やだ。」

ぽろり、と涙がこぼれる。

「うん。」

先生は否定しなかった。

「やだよね。」

「怖いよね。」

「でも、先生たちも早く終わるように頑張るから。」

「亜美ちゃんも、一緒に頑張ろう。」

亜美は涙を拭うこともできず、小さくうなずいた。
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