おかえりが聞こえる病室
しばらくして、処置室のドアが静かに開く。

神谷先生だった。

カルテを手にしたまま、ゆっくり二人の前に座る。

「お待たせしました。」

先生の穏やかな表情を見て、ママも姿勢を正した。

「検査の結果をお話ししますね。」

部屋の空気が少しだけ変わる。

「採血では、体の中で炎症が起きていることを示す値が高くなっていました。」

先生は専門用語をできるだけ使わず、一つ一つ言葉を選びながら話す。

「レントゲンでも、肺に炎症が疑われる部分があります。」

ママは静かに頷いた。

「肺炎……ですか?」

「可能性があります。」

「まだ詳しくは入院して経過を見ながら判断しますが、このままご自宅で様子を見るより、病院で治療した方が安心です。」

ママはゆっくり息を吐いた。

頭では分かっていた。

でも、その言葉を聞くと現実になる。

「……入院ですね。」

先生は静かに頷く。

「はい。」
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