おかえりが聞こえる病室

302号室

エレベーターの扉が静かに開いた。

「3階です。」

電子音が静かな廊下に響く。

救急外来とは違う空気だった。

慌ただしさはなく、照明も少しだけ柔らかい。

ナースステーションからは、キーボードを打つ音と、小さな話し声が聞こえてくる。

ストレッチャーはゆっくりと廊下を進んだ。

亜美は毛布の隙間から辺りを見回す。

知らない場所。

知らない匂い。

(ここで……お泊まりするの……。)

胸の奥が、ぎゅっと苦しくなる。
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