おかえりが聞こえる病室
ナースステーションへ戻ると、夜勤リーダーがにやりと笑った。

「寝た?」

莉奈も小さく笑う。

「寝てくれました。」

「何したの?」

「絵本の代わりに、お話を。」

リーダーは感心したように頷く。

「莉奈らしいね。」

莉奈は照れ笑いを浮かべながらカルテを開いた。

『午前2時13分 ナースコール。
眠れないとの訴えあり。傾聴し、不安軽減を図る。現在入眠。』

その短い記録の裏側には、

まだ誰にも見えない、小さな信頼の種がそっと芽を出し始めていた。
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