Ironic Honey
「それは?」

「一夜を過ごした男の名刺」

「見せて」


 そう言われ、怜奈に名刺を見せると、わかりやすく目を見開いていた。


「有名な会社じゃない! それの社長!?」

「やっぱ、とんでもない人と寝ちゃったのね。あんな変人なのに…」

「変人だったの?」

「それはもうとんでもなくね」

「にしても、あんた、これ本当に何かあったとしたら、すごい玉の輿ね」

「やっぱりいっそ何かあるべき?」

「とんでもなく不純な動機ね。汚い女」

「言葉は選んでよ」


 ちくちくと言葉で刺され、私は苦笑いする。

 確かに間違いだったかもしれない。でも、あの夜は特別だったと、少しでもそう思ったのは私だけだったのだろうか。

 何もなければ私とあの男との関係は自ずとなくなる。それはほんの少し寂しい様な。何もない方がいいに決まっているのに、どこかで繋がりを求めるなんて間違っている。
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