Ironic Honey
 翌週。仕事の昼休みに、私は同僚とカフェに来ていた。その合間に週末に起きたことを話す。


「何してんのよ…、あんた」


 あんぐりした表情でこちらを見ている、間抜け面した女は、榊《さかき》 怜奈《れいな》。同じ営業部で活躍する同僚である。

 営業部にはもう一人、小田原《おだわら》 優希《ゆうき》という男がいる。その男と怜奈は焦れったい攻防の後、交際中。

 今は年甲斐もなく、バーで出会った男とワンナイトをした私に呆れているというところだ。


「そのくらい楽しかったのよ。行為中の記憶はないけど」

「生々しい…!」


 汚らわしいものでも見るように、怜奈の顔は引いている。いい歳した大人だからって考えで容易に抱かれたのは、常識的ではなかったらしい。

 怜奈は特にそうか。弟が誰とでも寝られるヤり〇ンだと嘆いていた。とはいえ、その弟も今では愛らしい彼女を見つけていて安定しているのだとか。

 どんな人間でも私の身の回りは続々と幸せを勝ち取っており、ほんの少し羨ましい。


「だけど、避妊がちゃんとできていたか記憶がないって言われた」

「それ、大丈夫なわけ? アフターピルもらいに行かなかったの?」

「出来たらその時かなって」

「どこで肝座ってんのよ!」


 私の態度にツッコみを入れる怜奈をよそに、名刺を取り出した。
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