Ironic Honey
 帰宅してから真っ先にトイレに向かった。紙袋から妊娠検査薬の箱を取り出し、更にその中からキットを取り出す。一息吐いてから、それを使用する。

 それからトイレから出ると、平行なところに一分間置いた。その間、私はキットを見ていられなかった。結果を見るのが怖い。

 ただの生理不順であってほしい。そしたら病院に行ったら済む話だ。

 ソファにしばらく座り、大体一分ほど待つと、妊娠検査薬の方へ向かう。ばくばくと鳴る心臓を抑えながら、それを手に取ると、はっきりと赤の二本線が出ていた。つまり、陽性。

 やっぱりかという気持ちと、不安が一気に降りかかる。震える手で、スマートフォンを手に取り、怜奈に電話をかける。

 数コールの後、怜奈の『もしもーし』と明るい声が聞こえてきた。


「怜奈…」

『…聖菜?』

「出来ちゃった…」


 何とかそう伝えると怜奈は『やっぱりか…』と言葉を零した。


『まずは、おめでとう』

「…え?」

『聖菜の事だから、堕ろすって頭はないでしょ?』


 怜奈の言葉に心が少しだけ温かくなった。私は喜ぶ余裕もなくて、不安に覆われることしかできなかった。彼女の言葉に涙を流し、嗚咽を零す。


『ちゃんと相手に相談しな。一人じゃ無理だよ。あんたの場合、実家も遠いんだし、すぐに頼れないんでしょ』

「…うん」


 怜奈の言葉にそう返事をし、少し落ち着かせる。
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