Ironic Honey
 食事を終えると、いつも通り車に乗り込んで、家に着いて解散だと思っていた。


「明日、予定は?」

「特になかったと思うけど、どうして?」

「今夜は、もう少し一緒にいたい」


 思わぬ言葉に唖然とした。義務的に感じていた週一の食事会で、そんな提案をされるなんて思っていなかった。


「…どういう意味?」

「俺の家で過ごさないか?」

「俺の家って…、明日あなたの実家に行かなくちゃならないのよ?」

「都合もいいだろ。そのままいっしょに行けるし」

「待って、泊まりのつもり?」


 赤信号で止まったタイミングで彼はこちらを見る。


「そうだけど?」

「い、いやいや」


 あまりにも当たり前に答えてくるから私がおかしいのかと思った。

 今までそんなこともなかったし、本当に突然の話だ。


「着替えもないし、メイク道具もないし…」

「取りに行けばいい」

「な、なんで、そこまで…」

「いずれ住む家だし慣れておいたほうがいいだろ」


 変に正論を言ってくるのもやめてほしい。いろいろなことが突然すぎる。それでいてもう決定事項に感じる話し方をするところ、強引すぎる。

 唖然としていると、青信号になり車は再び走り出す。
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