Ironic Honey
 飲み物を入れてきた千織が戻ってくると、隣に座る。


「ノンカフェインのコーヒーにしたけど飲める?」

「妊婦がカフェインダメってこと知ってたんだ?」

「一応俺なりにいろいろ調べてるよ。まだまだ知識不足なところもあるけど、カフェインはだめだとか、生魚はだめだとか、葉酸はとるべきだとか、鉄分をとらないといけないとか」

「…ありがとう」

「当然のことだろ」


 妊娠を他人事ではないととらえてくれているのがよく伝わる。本当に真面目な人。

 こんな男性が世の中にどのくらいいるのか。おそらく、希少。こういう経験がない私にはわからないけれど、きっとそう。

 話を聞いていると生まれるまで実感がわかなくて、協力的ではない旦那さんが多いと聞く。だから喧嘩することも多いと聞いていたけれど、今のところそんな心配は不要そうだ。


「これからのことについて少し話したいんだけど」

「うん?」

「俺は今後、君にどのくらい踏み込んでいいんだろう」

「え?」

「俺はやっぱり、いまだに君に気を使っているところがあると思う。だけど、家族になるなら気を遣わずに、これからのこと…、君の将来についても話し合いたい」


 確かにお互いにどこか気は遣っていたと思う。どこまで踏み込むとか、そんなこと考えたこともなかったけれど。
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