Ironic Honey
 少し時間が経過し、ハーブティーを出してもらい場が和むと、千織の両親は満足そうに頷いていた。


「よくやった。千織。こんな美人な奥さんに来てもらった上に、孫にまであわせてくれるとは」

「よくやったじゃないから。普通の親なら怒るところだろう。人様の娘さんになんてことをって」

「二人が幸せならそれでOKよ」

「それらしいこと言うな。怒れ」

「まだ叱られたいの? 千織くんったら親離れできてないのね」


 千織に対して親が明るすぎるというかなんというか。この人が真面目なのは、この親がいたからではないかと、失礼を承知で少し思ってしまう。

 少し考え方がふわふわとしているお母様と、ほんの少し考え方がずれているお父様。だけどそれが悪いわけでも、私からしても嫌なわけではなくて、受け入れられるか不安だった私からすれば、すごく安心できた。

 この子が、歓迎されて、喜ばれているということにも。

 親子のおかしな会話に思わず笑うと千織は顔を少しだけ赤くしながら、顔をしかめてこちらを見ていた。


「恥ずかしい。おかしな親だろ?」

「にぎやかで楽しいわよ」

「それならよかった」


 そんな会話をしていると、彼のお母様は突然私の手を握った。それに驚いて目を見開いていると、彼女は優しく微笑んでいる。


「いろいろ不安だと思うけど、千織くんのことも、子育てのこととかも、何かあれば相談してね。きっと子育ては、自分のお母様に聞くでしょうけど、もし頼ってもらえたら力になる」


 なるほど、と思った。彼が気遣いが出来るのは、彼の母がこんな風に温かく、普段から人を気遣うことを忘れないから。

 こんなに思わぬ出来事にも温かく迎えてくれて、優しくしてくれて、不安が一気に解けて涙が出そうになった。
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