Ironic Honey
 中からは賑やかな声が聞こえてくる。


「おかえり~~~~~~!」


 奥から走ってきたのはかわいらしいガーリーな恰好をした女性。見たところ二十代だろうか?


「ただいま。母さん」


 千織の言葉に目を見開く。

 か、母さん?

 千織は三十だ。普通に考えて、五十は超えているはず。せいぜい三十代だと思っていた。恰好もそうだけど、肌が綺麗で若々しい。

 目をぱちぱちとさせて、千織と千織の母を見ていると、彼女は優しく笑みをこぼしてくすっと笑った。


「はじめまして。千織くんのママです」

「は、はじめまして! 天野 聖菜です」

「やだ、かわいらしい! 早く上がって!」


 本当にかわいらしいのは絶対にあなたです。

 心の中でそう思いつつ、先を歩きリードしてくれる千織の後ろをついていく。

 家の中までもが白を基調とされていて、花が好きなのかところどころ飾られている。中も明るくて、日当たりすらもいい。

 中に入ると、千織にそっくりな男性がいた。この人がきっと千織のお父様。あまりにも厳格そうで、私が身構えていると、すぐにふっと雰囲気を柔らかくした。


「いらっしゃい。長谷川家へ」


 そんな歓迎の言葉に安堵。それとじんわり心が温まる。長谷川家へという言葉が、すでに家族として歓迎されているようで、それがうれしい。
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