Ironic Honey
Episode8
 平日、ネイビーのワンピースを着ながらオフィスでコピーを取っていると、後ろから怜奈が歩いてきた。


「随分おなか大きくなったわね」

「まあね。重たくて、腰が痛くて仕方ない。こっからまだ大きくなるのよね」

「もう動くの?」

「うん。時々ね」

「へぇ」


 怜奈は隣に立ちながらコピーが刷られていくのを見て、資料を見ていた。


「近々ご飯行かない? 夜にでも」

「いいけど」

「よかった。いつがいい?」

「全然いつでも」

「よかった。じゃあ、今日は?」

「わかった」


 怜奈とそう会話をすると「よかった、またあとで」と微笑み、立ち去っていく。そんな怜奈に手を振ると、その後に千織のことが頭に浮かんだ。

 今は一緒に住んでいないし、今まで彼氏に友人と遊ぶのにいちいち報告したこともない。必要がないからだ。

 だけど、千織は旦那になったわけだし、私が妊娠中だというのを気にしてよく身を案じてくれる。だから、言っておくべきかと思った。

 後で連絡しておこうと決め、コピーした資料を持ちデスクに戻る。
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