Ironic Honey
「怜奈」

「何よ?」

「私、思った以上に好きみたい。旦那のこと」


 そう言葉を漏らす私に、怜奈は顔を顰め、スプーンで掬ったご飯の存在すらも忘れ、口を開けたままこちらを見ている。何を言ってるんだ、とでも言いたげな表情をして。

 私は突然羞恥心に襲われ、軽く咳ばらいをすると、一口サイズに切り分けたロコモコを口に運んだ。


「何言ってんの、本当に。本来それが普通だから! 好きでもない男となんて、一生を一緒にする決断なんて出来ないでしょ!」

「そうだけど、私達は第一に子供のことだってあったし…」

「きっとお金だけ取ることだってできた。でも、そうせず結婚したってことは、好きだからでしょ?」


 そう言われ、答えに悩んだ。千織に結婚しようと言われて、自分も将来そう思う相手がいないならと思って結婚したところもある。

 そこまで考えて、今更始まりなんて案外重要じゃないかと割り切った。今は好きで、そんな相手と結婚できたのだから、私は幸せ者ってことで間違いないのだと思う。
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