Ironic Honey
「楽しかったけど…」
対する怜奈の返答は照れくさそうだった。普段こんなにたじたじな怜奈を見たことがないから思わず笑ってしまう。
私の笑い声を聞くと、怜奈は顔を真っ赤にして、こちらを睨みつけている。何笑ってんのよ、とでも言いたげに。
私は少し笑うと「先行きなよ。お二人さん」と言い、怜奈と小田原は顔を見合わせている。
「でも、来るまでそんな時間かからないでしょ? 全然一緒に待つわよ」
「大丈夫! 本当にすぐ着くと思うから、先行って」
「…わかった。また明日ね」
怜奈と小田原を見送るとスマートフォンを見る。連絡はまだない。おそらく今は車の運転中なのかもしれない。
そう思いながら店前で変わらず待っていると、「あれ?」と横から声を掛けられ、顔を上げる。
「ああ、やっぱり聖菜だ」
その相手は私の元恋人の木村《きむら》 篤史《あつし》だった。彼とは、長く続いた方だと思うけれど、私の仕事優先だったところとか、彼に頼らなくても何かと一人でできてしまう性格を、よく思っていなかった。
過去に「聖菜って俺なんかいなくても全く平気だよな」と、少し傷ついたような表情で言っていたのを忘れない。
それから会っていなかったけれど、彼は特に変わった様子はない。私は少しだけ気まずい気持ちで「…久しぶり」と声をかけた。
対する怜奈の返答は照れくさそうだった。普段こんなにたじたじな怜奈を見たことがないから思わず笑ってしまう。
私の笑い声を聞くと、怜奈は顔を真っ赤にして、こちらを睨みつけている。何笑ってんのよ、とでも言いたげに。
私は少し笑うと「先行きなよ。お二人さん」と言い、怜奈と小田原は顔を見合わせている。
「でも、来るまでそんな時間かからないでしょ? 全然一緒に待つわよ」
「大丈夫! 本当にすぐ着くと思うから、先行って」
「…わかった。また明日ね」
怜奈と小田原を見送るとスマートフォンを見る。連絡はまだない。おそらく今は車の運転中なのかもしれない。
そう思いながら店前で変わらず待っていると、「あれ?」と横から声を掛けられ、顔を上げる。
「ああ、やっぱり聖菜だ」
その相手は私の元恋人の木村《きむら》 篤史《あつし》だった。彼とは、長く続いた方だと思うけれど、私の仕事優先だったところとか、彼に頼らなくても何かと一人でできてしまう性格を、よく思っていなかった。
過去に「聖菜って俺なんかいなくても全く平気だよな」と、少し傷ついたような表情で言っていたのを忘れない。
それから会っていなかったけれど、彼は特に変わった様子はない。私は少しだけ気まずい気持ちで「…久しぶり」と声をかけた。