君に届け
第一章 迫り来る災害
地震発生
PM 14:46
5時間目の授業も終わりに近づき、教室には少しだけ週末の緩んだ空気が流れていた。
私はノートの端に、前の席に座る神原 翔吾くんの背中を見つめながら、小さなハートマークを落書きしていた。
(あーあ、今日の放課後、翔吾くんとちょっとでも話せたらいいな……)
お人好しで、クラスの誰かが困っているとすぐに飛んでいく翔吾くん。
そんな彼のまっすぐな正義感に、私はずっと片思いをしている。
「ねえ希子、また神原くんのこと見てるでしょ」
隣の席の優子が、先生に見つからないように小さな声でニヤニヤとからかってきた。
「ちょっと、優子うるさい!」
「はいはい。今日の放課後、告白しちゃいなよー」
優子はいつだって、私の恋を一番近くで応援してくれた。
そんな、いつも通りの、大好きな人たちと過ごす愛おしい時間。
それが、次の瞬間に激変した。
――ゴゴゴゴゴゴゴ……。
地響きのような、不気味な重低音が足元から響いてきた。
「え……? 何、この音」
優子と顔を見合わせた瞬間、ドンッ! という激しい突き上げと共に、地面が狂ったように揺れ始めた。
「キャアアアアア!」
「ウワアアアアア!」
教室中に悲鳴が響き渡る。
ガタガタガタガタ! バリバリバリ!窓ガラスが激しく震え、天井の蛍光灯がちぎれそうなほど揺れる。
「全員、机の下に隠れろ! 頭を守れ!」
先生の怒鳴り声が響く。
私はパニックになりながらも、必死に机の下に潜り込んだ。
横を見ると、優子もガタガタと震えながら机の脚を握りしめている。
前を見ると、翔吾くんが近くの席の女の子の机が飛ばされないように、必死に支えているのが見えた。
ガシャーン!!激しい音を立てて、教室の後ろのガラスが粉々に割れた。
机から落ちた教科書やファイルが床に散らばり、校舎がミシッ、ミシッときしむ。
地球が壊れてしまうんじゃないかと思うほどの揺れが、何分も、何分も続いた。
ようやく大きな揺れが収まったとき、教室内は埃で真っ白だった。
ジリリリリリリリ!!!!
けたたましい火災報知器の音が、鳴り響き始める。
「動ける者は荷物を持たずに校庭へ避難しろ! 急げ!」
「希子、大丈夫!?」
優子が私の手を強く引っ張ってくれた。
「う、うん……!」
「神原くんも、早く行こう!」
優子が翔吾くんに声をかけると、彼は、
「おう! 先に行ってろ、俺、足がすくんで動けない奴を連れていくから!」
と、泣きそうな顔をしているクラスメイトの肩を支えていた。
こんなときまで、彼はどこまでも他人のことを優先する人だった。
「気をつけてね!」
私と優子は手を繋ぎ、割れたガラスを避けながら、必死に廊下へ飛び出した。
校舎から外へ。一刻も早く、広い場所へ。
パニックになった全校生徒が、押し寄せるように校庭へと走っていく。
私たちはなんとか校舎の外へ出て、学校の敷地外の避難場所へと続く道を走っていた。
その時だった。
メキメキメキッ、と頭上で不穏な破壊音が響いた。
「え――」
見上げると、地震の激しい揺れで根元から折れかけた、重い鉄製の案内看板が、私たちの真上に倒れてくるのが見えた。
「希子、危ないっ!!」
ドン、
急に強い力で身体を突き飛ばされた。
私が冷たい地面に転がったのと同時に、背後でズシーン!! と凄まじい衝撃音が響いた。
「いやあああ!」
土煙の向こうに目を凝らす。
そこには、大きな看板の下敷きになって倒れている優子の姿があった。
「優子! 優子!!」
私は叫びながら駆け寄り、必死に看板を持ち上げようとした。
でも、13歳の私の小さな力では、鉄の塊はびくともしない。
「うそ、嫌だ、動いてよ……! 誰か、誰か来てください!!」
その時だった
5時間目の授業も終わりに近づき、教室には少しだけ週末の緩んだ空気が流れていた。
私はノートの端に、前の席に座る神原 翔吾くんの背中を見つめながら、小さなハートマークを落書きしていた。
(あーあ、今日の放課後、翔吾くんとちょっとでも話せたらいいな……)
お人好しで、クラスの誰かが困っているとすぐに飛んでいく翔吾くん。
そんな彼のまっすぐな正義感に、私はずっと片思いをしている。
「ねえ希子、また神原くんのこと見てるでしょ」
隣の席の優子が、先生に見つからないように小さな声でニヤニヤとからかってきた。
「ちょっと、優子うるさい!」
「はいはい。今日の放課後、告白しちゃいなよー」
優子はいつだって、私の恋を一番近くで応援してくれた。
そんな、いつも通りの、大好きな人たちと過ごす愛おしい時間。
それが、次の瞬間に激変した。
――ゴゴゴゴゴゴゴ……。
地響きのような、不気味な重低音が足元から響いてきた。
「え……? 何、この音」
優子と顔を見合わせた瞬間、ドンッ! という激しい突き上げと共に、地面が狂ったように揺れ始めた。
「キャアアアアア!」
「ウワアアアアア!」
教室中に悲鳴が響き渡る。
ガタガタガタガタ! バリバリバリ!窓ガラスが激しく震え、天井の蛍光灯がちぎれそうなほど揺れる。
「全員、机の下に隠れろ! 頭を守れ!」
先生の怒鳴り声が響く。
私はパニックになりながらも、必死に机の下に潜り込んだ。
横を見ると、優子もガタガタと震えながら机の脚を握りしめている。
前を見ると、翔吾くんが近くの席の女の子の机が飛ばされないように、必死に支えているのが見えた。
ガシャーン!!激しい音を立てて、教室の後ろのガラスが粉々に割れた。
机から落ちた教科書やファイルが床に散らばり、校舎がミシッ、ミシッときしむ。
地球が壊れてしまうんじゃないかと思うほどの揺れが、何分も、何分も続いた。
ようやく大きな揺れが収まったとき、教室内は埃で真っ白だった。
ジリリリリリリリ!!!!
けたたましい火災報知器の音が、鳴り響き始める。
「動ける者は荷物を持たずに校庭へ避難しろ! 急げ!」
「希子、大丈夫!?」
優子が私の手を強く引っ張ってくれた。
「う、うん……!」
「神原くんも、早く行こう!」
優子が翔吾くんに声をかけると、彼は、
「おう! 先に行ってろ、俺、足がすくんで動けない奴を連れていくから!」
と、泣きそうな顔をしているクラスメイトの肩を支えていた。
こんなときまで、彼はどこまでも他人のことを優先する人だった。
「気をつけてね!」
私と優子は手を繋ぎ、割れたガラスを避けながら、必死に廊下へ飛び出した。
校舎から外へ。一刻も早く、広い場所へ。
パニックになった全校生徒が、押し寄せるように校庭へと走っていく。
私たちはなんとか校舎の外へ出て、学校の敷地外の避難場所へと続く道を走っていた。
その時だった。
メキメキメキッ、と頭上で不穏な破壊音が響いた。
「え――」
見上げると、地震の激しい揺れで根元から折れかけた、重い鉄製の案内看板が、私たちの真上に倒れてくるのが見えた。
「希子、危ないっ!!」
ドン、
急に強い力で身体を突き飛ばされた。
私が冷たい地面に転がったのと同時に、背後でズシーン!! と凄まじい衝撃音が響いた。
「いやあああ!」
土煙の向こうに目を凝らす。
そこには、大きな看板の下敷きになって倒れている優子の姿があった。
「優子! 優子!!」
私は叫びながら駆け寄り、必死に看板を持ち上げようとした。
でも、13歳の私の小さな力では、鉄の塊はびくともしない。
「うそ、嫌だ、動いてよ……! 誰か、誰か来てください!!」
その時だった