伝説の『姫』。現在、地味子Aとして潜入中!

2.潜入しました。

「…ふぅ…。」
ローファーを履いて、家を出る。
…よしっ。
家を出ると、どこからか足音が聞こえてきた。
「先輩、おはようございます。」
「滝くん!おはよう!」
今日は初登校ということで、滝くんがお迎えに来てくれた。
無理しなくていいよって言ったんだけど…
『いえ。先輩をサポートする為に潜入班に加わったので。一緒に行きます』
と言ってくれた。
本当に心強い味方すぎるよ…!
2人で歩いていると、なんとなく滝くんの様子がいつもと違うことに気がついた。
「…緊張する?」
「え?」
普通なら初登校って意味に聞こえるだろうけど、滝くんなら緊張することはないと思う。
でも、この任務にはEden にとってもとても重要な任務。
例え優秀な滝くんでも、緊張しない訳がない。
「…流石ですね、先輩は。
なんでもお見通しだ。」
クスッとそう笑う滝くんの顔には、もう緊張の色は見えなかった。
良かった、リラックスできたみたい。
「着きましたよ」
「え、ほんと…って、え!?」
目の前には、とても大きくて立派な建物があった。
真っ白で、暴走族の集いの場所とは到底思えない…っ!
これ、本当に校舎…?!
「…噂には聞いてましたけど、これほどとは…」
滝くんも同じようなことを思っていたみたい…
そうだよね。普通の学校はこうじゃないよね!
「とりあえず、理事長室…でしたよね。
行きましょうか。」
そう滝くんが言った言葉で私は気を取り直し、私達は理事長室に向けて足を運んだ。
コンコン
「失礼します。」
「おぉ。初めまして、亜月乃空さん。月島滝くん。
私は理事長をしている早乙女 吾郎だ。」
「初めまして。
これからよろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
「君たち…試験結果、聞いたよ。
月島くんは合格点を余裕の通過。
亜月さんは満点の通過だって?」
「はい。」
「…はい…。」
この学園は入試試験を突破しないと入学できない。
しかも超難しいらしく、私も頭を抱えた。
…だからこそ、忘れていたのだ。
"目立っちゃいけない"って事を!!
元々は滝くんがいい点を取って、私はそこそこの点を取る予定だったのにっ…
想像の斜め上の問題とか出てきて、久しぶりの問題に楽しくなって…
そのせいで…
『おまっ…満点って…なにやってんだ!』
『これじゃあ先輩、丸目立ちじゃないですか…』
ハル先輩や滝くんだけじゃなく
ボスにまでも
『…予想しなかったという訳では無いが…ここまでとは…
…はぁ…。』
ため息をつかれてしまったほどだった…っ…、
昔から争い事ばかりだと駄目だと思って勉強もそこそこにやっていた。
滝くんは元々頭がいいから、多分余裕で満点は取れただろう。
それも、わざと手を抜いて合格点を超えた。
後輩がこんなに優秀なのに…私は…、
「この学園史上初だ。これから、期待しているよ。」
「「ありがとうございます。」」
「クラスなどは職員室にいって確認してくれ。
それじゃあ、学園生活を楽しんでくれ。」
そう微笑んだ理事長さん。
「「はい。」」
バタン
…はぁ…。
最初から、やらかしちゃったな…。
「理事長さん、いい人みたいでよかったね。」
「ですね。
次は職員室…ですか。」

「亜月さんは3組。月島くんは1組ですね。
HRで紹介するので、各組の担任と向かってください。」
「はいっ」
「…はい。」

廊下に出て2人で待っていると、1人の若い男の先生が来た。
「月島滝か!
それじゃあオレと1組に行くか!」
「はい。」
滝くん、頑張って!
そうガッツポーズすると、遠ざかって言った滝くんが1度振り返った
"気" "を" "付" "け" "て"
そう口パクでそういった後、また先生と一緒に歩き出して行った。
ありがとう、滝くんっ…!
いい後輩を持ったなぁ…と感激していると、後ろから何かただならぬ気配を感じ、思わず振り返る。
「あっ…」
「…お前…。」
目の前には真っ黒の綺麗な髪を靡かせた、1人の綺麗な男性が居た。
…誰…?
誰だかは分からない。でも、何か強い気配を感じた。
いつもなら気づいていないフリをして誤魔化したりするけれど…、あまりにも奇妙過ぎて反応してしまった。
「…えっと、私…転校生で。」
そう何も知らないですよ〜…という反応をしてみる。
すると彼は黙って私の顔をじぃ…と見たあと、すぐに
「そ。」
と素っ気なくいって、そのまま暗闇の奥へ行ってしまった。
…一体何者なんだろう、あの人…。
少なくとも、ただの一般人…では無いみたい。
もしかして…総長と何か関係が…?
いや、憶測でものを言うのは…
NOVA 《ノヴァ》の総長・御堂 宵
NOIR 《ノワール》の総長・神宮寺 皇
PHANTOM 《ファントム》の総長・千歳るい
FROST《フロスト》の総長・氷空麗夜
総長の名前は分かっても、顔写真は入手出来なかった。
我々は情報機関にも優れているのにも関わらず、だ。
「…警戒は怠るな、よね。」
小さく、誰にも聞こえない静かな廊下で1人呟く。
するとトントン…と今度こそ、担任の先生らしき足音が聞こえてきた。
「亜月さん。
僕が亜月さんの担任の野口です。よろしくね。」
そうニコッと笑う優しそうな先生。
「はい。よろしくお願いしますっ」
自分に活を入れつつ、私は担任の先生と共に歩き出した。
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