伝説の『姫』。現在、地味子Aとして潜入中!

7.大切な人 side滝

「っ…はぁ…。」

俺は転校初日からもう既に精神的に疲れ果てていた。

その合図はもう、教室へ入った瞬間に鳴っていた。


──数時間前

先輩と廊下で2人、担任を待っていると先に大柄の若い教師が来た。

「月島滝か!
それじゃあオレと1組に行くか!」

俺の担任は…なんか、熱血教師みたいな人だな…。

「はい。」

少し先輩が気になってチラッと後ろを見ると、いつもとは姿が違う黒髪の先輩がまるで『ファイトッ』と言っているようなポーズをしていて、可愛くて笑ってしまう。

…やばい、可愛すぎる。

先輩を見ると、警戒心が無くなるな…

そんな先輩の身が不安になり、俺は口パクでその気をつけて。と伝えた。

…ここまでは、良かったはずなのに。



「転校生が来たぞー!入ってこい!」

そう担任に呼ばれ、教室へ入る。

「…月島滝です。
よろしくお願いします。」

…正直、こう言った挨拶は得意じゃない。

いや、むしろ苦手だ。

何故なら…

「えっちょーイケメンっ!」

「え、イケメンな上に頭までいいんだよねっ!?
最高じゃんっ!」

そう耳鳴りのような甲高い声で叫ぶ女子生徒たち。

「えーガリ勉的な奴想像してたけど…
まあまあじゃん」

男は俺を見下したような目で見る。

…はぁ…うるさい…っ。

ッチッ…ただでさえ先輩とクラスが離れて間もないのにっ…

「落ち着けお前らー
じゃ、月島の席はそこだな」

教師に刺された場所へ着くと、隣の女子生徒が声をかけてきた。

「ねえねぇっ
あの激ムズなテスト合格したんでしょ?
すごーいっ!尊敬しちゃうっ」

あからさまに媚びを売ってくるような声、目、顔。

…こういう自分の『欲』を隠して縋ってくる奴が、俺は1番嫌いだ。

…先輩はこんな目で見てきたことがないから、忘れてたな…。

「ねぇねぇ"滝くん"ー?聞いてるー?」

「…あ゛?」

「ヒッ…!」

俺のことをそう呼んでいいのは、"あの人"だけだ。

『滝くんっ!』

…あの人と同じ呼び方を、他の奴にされたくない。

「…俺は馴れ合うつもりはないんで。
その呼び方、やめてください。」

「っ…」

あからさまにショックを受けたような顔をする女。

…こんくらい言えばいいだろ。

先輩とクラス離れたの、本当に予想外だ…。

そんな傷心に浸っている間に、俺は何人かの怒りを買ってしまっていたようだった。



──HR後

俺は1人、派手髪の男3人組に階段裏へ呼び出されていた。

「お前、随分調子こいてんじゃねーか。」

「余裕ぶってんのムカつくんだよガリ勉。」

…自分が勉強ができないのを、できる人間へ八つ当たりする。

そして意味もない暴力をふるって、その憂さ晴らし。

…なんてところか。

…ほんっと、意味がわからない。

馬鹿は無知。マジだったんだな…。

1人感心していると、そいつらの反感を買ってしまったようで…

「っテメェ、意味わかんねーことしてんじゃねぇっ!!」

1人が俺に殴り掛かる。

…おっそ。

俺は1人の拳を取り、背負い投げで投げ飛ばす。

「ッガハッ…!」

「ってめぇっ!」

2人目の足をひっかけ、転ばせる。

「ッガッ!」

3人目は…

「っ貰ったァ!!」

後ろからナイフを持って飛びかかってきた3人目の腹に1発食らわせ、気絶したところをナイフを奪い取る。

「…このナイフ使ってきたから、俺は正当防衛だな。」

手に着いた汚れを払いながらそういうが、誰も反応しない。

手加減したから…きっと気絶してるだけだろう。

「…こんなことなら、先輩の方がよっぽど強い。」

先輩の戦い方は綺麗で、まるで花の舞みたいに…

…って、先輩?

俺は大事な存在のことを思い出し、メール画面を開く。

すると、先輩から1件のメールが入っていた。

確認すると、俺は血の気が引いた

〘 滝くん、本当にごめんなさい。
クラスで話しかけてくれた人と学園案内に行くことになって、お昼休みの約束に行けなくなっちゃったの。
何かあったら連絡して教えてくれる?〙

そのメッセージと共に添えられた、『ごめんね』と書かれたうさぎの可愛らしい先輩愛用のスタンプ。

…先輩に会える唯一の時間を、横の奴に取られた…、?

俺はそいつが誰なのかを先輩に聞こうとした矢先、授業の予鈴がなる。

「あ〜っくそっ!」

俺は1人、先輩のメッセージを見るのが遅れた怒りを、原因の下に転がった奴らにぶつけた。
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