【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
 参事官は私を牽制していたと思う。日奈さんというのは誰なんだろう。聞きたかったが聞けなかった。奇妙な沈黙がおりた。

「私、母と弟にお土産を買いたいんです。あと、会社の人にも買います」

「そうだったな。お土産は色々あるから、選ぶのが大変じゃないか?」

「実は大体考えてきたんです」

「すごいな」

 まずはイギリスと言えば紅茶。それと、ハロッズのショッピングバッグ。

 持ち歩けそうなロゴの入ったお洒落なものを選んだ。

 弟には大きなスポーツタオル。母にはマグカップとお皿のセットなども買った。

「藤堂さんのお母様のプレゼントはどうします?どういったものがお好きなんですか?」

「そうだな、花が好きなんだ。服も花柄とか好きだな」

「本当ですか?私も好きです!実はそういうものをまとめている百貨店があるので、時間があれば行きたいと思っていたんです」

 彼は腕時計を見て、私を見た。

「どこに行きたいの?遠慮せず言ってくれればいい。まだロンドンアイには二時間半ぐらいある。間に合うと思うよ」

「リバティロンドンっていうデパートです」

 彼は携帯で調べた。

「リバティロンドンって確か……ああ、ここか。オックスフォードサーカスから近いんだな。ピカデリーサーカスからも歩ける。ここなら近いし大丈夫だよ」

「リバティ柄という小さな花柄のデザインが好きなんです。その生地で作ったワンピースやブラウス、スカーフやポーチ、バッグや小物とか売ってるんです」

「なるほど」

「そこそこのお値段ですけど、もし藤堂さんが気に入ればお母様のプレゼントにしても悪くないと思います」

「へえ、それは良さそうだな。母にはそれなの値段のものがいい。僕も買えるかな?」

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