【改稿版】彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
「わかった。話してくれる日を待っているよ。僕は明日早朝の便で帰るからね。また連絡するよ、琴乃」

「はい、長旅お気をつけて」

 彼女の抱えているものの大きさにその時は気づいていなかった。
 
 * * *

「おい、玲。帰国していたらしいな」

 イギリスに戻ってすぐ父から電話があった。

「なんで知ってるの?」

 なんとなく想像はついた。外務省に父の知り合いは多い。

 帰国申請が出ていたのを誰かに聞いたのだろう。

「まあ、それはいい。実家に全く顔を見せず、内緒で帰国したなんて母さんに知れたらことだぞ。玲は年に一度のお土産を奮発しておけば大丈夫だと思ってるんじゃないだろうな?」

「父さんと一緒だよ……わかってるなら言うなよ」

「玲。野原君から言われたが、原口さんとは結局どうなってるんだ?」

 僕は頭を抱えた。参事官自らが父に話したとは思わなかったのだ。

「彼は気をもんでいたぞ。原口さんは復縁の了承を事務所から得て、野原君に復縁を後押ししてくれと頼んでいるらしいな」

「父さん。原口さんとは終わってる。あちらにその気があっても、僕は今つき合っている人がいるから、絶対に日奈とやり直すことはない」

「つきあっている人がいるのか?参事官には話してないのか?」

「はー。だから、タイミングが悪くて言えなかった。でも、その後イギリスへ来た日奈にははっきり断ったよ。そのうち、参事官にも話がいくだろう」
 
「そうなのか?原口さんがこんなに大女優になるとは、お前とつきあっていた頃は失礼ながら想像できなかった。今や文化親善大使だからね」

「ああ」

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