細マッチョな藤川くん

細身長身の藤川くん

 はー。藤川くん、癒やされるわー。
 昼下がりのオフィス。私は対面のデスクに座る藤川くんを眺めながらため息をついた。すると、藤川くんは顔を上げ、書類を持ってこちらに歩いてきた。
「吉岡さん。すみません、ここのグラフについてちょっと教えていただきたくて」
 背の高い藤川くんが腰を曲げながら私の横に書類を広げた。
「うん、いいよ」
 私が藤川くんにいくつかのヒントを与えると、彼はすぐ理解したようで、自席に戻った。 仕事の覚えも早いし、いい後輩ができたなあ。
 私はいい気分でパソコンに向かった。
 藤川くんは我が社の今年の新入社員の一人だ。彼の教育係には、入社二年目の私が抜擢された。私はわりと面倒見がいいタイプなのだ。
 出来のよい藤川くんと面倒見のよい私。仕事は順調に回り、三ヶ月が経過しようとしていた。
 会社で三ヶ月経つと、何が起きるか。
 そう、クールビズである。
 はー。藤川くん、イイ体してるわー。
 今まではスーツをビシッと着ていた藤川くんだが、スーツを脱いでいることが増えた。そうすると、体の線が以前よりはっきりとする。
 細いなあ。ステキ……。
 折れそうな首、長く伸びた腕、細い指先、抱えやすそうな腰、より長さが際立つ脚。背が高いので、余計にその細さが際立つ。
 そう、私は細身長身フェチなのだ。
 芸能人や同級生、今まで好きになった人、皆ひょろっとしていた。強いて言えば顔もちょっと病的な美青年が好みだ。藤川くんはいかにも健康そうで生徒会長とかやってそうなタイプなので、そこはあてはまらなかったが。
 私はパソコンで疲れた目を休めようと、前を向いた。対面には藤川くんがいるから。
 はー。目の保養-。
 私はそんなこんなで藤川くんに淡い恋心らしきものを抱いていたのだった。

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