細マッチョな藤川くん
細マッチョな藤川くん
「俺、ずっと吉岡さんのこと好きだったんです」
先程の両者同時告白の衝撃が落ち着いた後、藤川くんはぽつぽつと話し始めた。私は顔を赤くしながら彼の話を聞いていた。
「教え方とかうまいし、仕事ができてすごくかっこいいし、周囲への気配りもできるし。あと、入社一ヶ月目で見た吉岡さんのプレゼン、すごく良かったです」
「そ、それはありがとう、ございます……」
褒められなれていないので照れて口ごもってしまう。
「最初は憧れでした。でも好きになるのは早かったです。笑顔とかかわいいし、優しいし。でも俺はふたつも年下だし後輩だから、男として見られてないよな、とは薄々感じてて」
「薄々感じるような態度、私、取った……?」
意外だ。むしろ職場だから好きな気持ちを隠そうと努力していたと思うのだけど。
藤川くんは頷いた。
「たまにこっち見てため息ついてたじゃないですか。出来の悪い後輩の仕事ぶりを呆れていたのかな、と。それに俺、けっこう吉岡さんに熱視線送ってたんですけど。目が合うと、吉岡さんすぐ目を逸らしてましたよ。迷惑だったんだろうなって、ずっと思ってました」
「あー……」
それはあれだ、つまり照れ隠しだ。
私はどうにか弁明しようと口を開いたが、うまい言葉がみつからなかった。藤川くんはテーブルの上に置かれた拳をぎゅっと握った。
「だから、今日はチャンスだと思ってたんです」
「チャンス?」
私が聞き返すと、藤川くんは首を縦に振った。
「吉岡さんに俺を男だと意識させるチャンスです。俺は脱ぐと意外と男らしい体つきなので、あそこで一気に意識させる計画でした」
「け、計画……」
「俺はかわいい後輩じゃない、男なんだって。そうしたら、その場で倒れちゃって、俺は何がなんだか……」
「そ、それはまことに申し訳なく……」
藤川くんは首をゆっくり左右に振った。
「いいんです。わかりましたから」
「わかったって、何が?」
藤川くんは組んだ両手に顎を乗せてこちらをじっと見つめてきた。
「俺のこと、怖くないですよね」
「うん、怖くないよ」
「俺のこと、好きなんですよね」
「う、うん」
照れて俯きながら首肯した。すると、藤川くんがすっと指を私の頬に伸ばしてきた。
「藤川くん?」
きょとんと彼の顔をみつめたが、その顔はどんどんと近づいてきて、そして、唇同士が触れあった。
唇はすぐに離れた。が、私は突然の出来事に頭が沸騰しそうになった。
「きゅ、急すぎ、では」
たどたどしく非難すると、藤川くんはにっと唇を吊り上げた。
「俺のこと好きなんでしょ? ならこれからは遠慮しませんから」
「いや、藤川くん、目、すわってる、怖いから!」
「さっき怖くないって言いましたよね?」
ーー前言撤回。
藤川くん怖いです。
ーーでも、そんなちょっと強引なところも好き!
私は結局。細身長身が好きなのではなくて、藤川くんが好きなんだなと思った。
先程の両者同時告白の衝撃が落ち着いた後、藤川くんはぽつぽつと話し始めた。私は顔を赤くしながら彼の話を聞いていた。
「教え方とかうまいし、仕事ができてすごくかっこいいし、周囲への気配りもできるし。あと、入社一ヶ月目で見た吉岡さんのプレゼン、すごく良かったです」
「そ、それはありがとう、ございます……」
褒められなれていないので照れて口ごもってしまう。
「最初は憧れでした。でも好きになるのは早かったです。笑顔とかかわいいし、優しいし。でも俺はふたつも年下だし後輩だから、男として見られてないよな、とは薄々感じてて」
「薄々感じるような態度、私、取った……?」
意外だ。むしろ職場だから好きな気持ちを隠そうと努力していたと思うのだけど。
藤川くんは頷いた。
「たまにこっち見てため息ついてたじゃないですか。出来の悪い後輩の仕事ぶりを呆れていたのかな、と。それに俺、けっこう吉岡さんに熱視線送ってたんですけど。目が合うと、吉岡さんすぐ目を逸らしてましたよ。迷惑だったんだろうなって、ずっと思ってました」
「あー……」
それはあれだ、つまり照れ隠しだ。
私はどうにか弁明しようと口を開いたが、うまい言葉がみつからなかった。藤川くんはテーブルの上に置かれた拳をぎゅっと握った。
「だから、今日はチャンスだと思ってたんです」
「チャンス?」
私が聞き返すと、藤川くんは首を縦に振った。
「吉岡さんに俺を男だと意識させるチャンスです。俺は脱ぐと意外と男らしい体つきなので、あそこで一気に意識させる計画でした」
「け、計画……」
「俺はかわいい後輩じゃない、男なんだって。そうしたら、その場で倒れちゃって、俺は何がなんだか……」
「そ、それはまことに申し訳なく……」
藤川くんは首をゆっくり左右に振った。
「いいんです。わかりましたから」
「わかったって、何が?」
藤川くんは組んだ両手に顎を乗せてこちらをじっと見つめてきた。
「俺のこと、怖くないですよね」
「うん、怖くないよ」
「俺のこと、好きなんですよね」
「う、うん」
照れて俯きながら首肯した。すると、藤川くんがすっと指を私の頬に伸ばしてきた。
「藤川くん?」
きょとんと彼の顔をみつめたが、その顔はどんどんと近づいてきて、そして、唇同士が触れあった。
唇はすぐに離れた。が、私は突然の出来事に頭が沸騰しそうになった。
「きゅ、急すぎ、では」
たどたどしく非難すると、藤川くんはにっと唇を吊り上げた。
「俺のこと好きなんでしょ? ならこれからは遠慮しませんから」
「いや、藤川くん、目、すわってる、怖いから!」
「さっき怖くないって言いましたよね?」
ーー前言撤回。
藤川くん怖いです。
ーーでも、そんなちょっと強引なところも好き!
私は結局。細身長身が好きなのではなくて、藤川くんが好きなんだなと思った。
