初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
プロローグ
「貴女に覚えがなくても、俺の初恋相手は貴女なんです」
つい先日、二十九歳の誕生日を迎えたばかりの柚木遥奈は、男を前に唖然としていた。
これまでそれなりの人生経験を積んできたつもりだ。ちょっとやそっとのことでは動じない自信もあった。それがまさか、こんなにも衝撃を受ける日がくるなんて、今の今まで想像もしなかった。
つい数時間前、同僚との食事帰りにヤクザ風の男に絡まれ、助けてくれたのが担当患者であるこの男だった。
ここまでなら、どこにでも転がっているよくある話で終わっていただろう。
だがそうじゃなかった。
驚くことに、学生時代に密かに想いを寄せていた、初恋の相手であり、医師を志すきっかけになった人物でもある。
礼など要らないと言われ恐縮しきりの遥奈に、『なら、一杯だけ付き合ってもらえませんか?』と、バーに誘われた。
断るつもりが、憂いを帯びた表情で『実は悩みがあるんです』と告げられて……
患者の心に寄り添う心療内科専門医を志す医師として、見て見ぬふりなどできなかった。
「……そ、それと、貴方がED(勃起不全)なのとは関係ないんじゃ」
「大ありですよ。貴女を好きになって以来、貴女にしか反応しなくなったんですから」
それがまさか、こんなことになるなんて――
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