初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


 ちなみに、倉科に目撃されたホテルでの一件の当事者である沢渡院長の反応はというと……

 あの一件から三日後の月曜日のことだ。

 遥奈の出勤を待ちかねたように、挨拶するなり院長室に連行された。

「遥奈くん、ちょっといいかな?」

「あっ、はい」

 もちろん想定内だ。

 けれど、仕事上ならともかく、プライベートである。しかも、零のこととなると、羞恥と戸惑いとでしどろもどろになってしまう。

 通勤時に繰り返していた、沢渡への説明のシミュレーションなど吹き飛んでしまっていた。

「この前は、親心でつい、出しゃばった真似をして悪かったね」

「あっ、いえいえ、そんな」

「実はさっき、零くんから連絡があってね。話は聞いてるから説明なんて必要ないよ。もとより、プライベートに口出すつもりはなかったけどね」

「そ、そうでしたか……」

 だが、どうやら遥奈が気を揉む必要はなかったらしい。

 零は自身の蒔いた種だけに、先回りしてフォローしてくれていたようだ。

 フォローの内容が気になったものの、藪蛇になりそうでぐっと口を噤んだ。零のことだから、何が出てくるかわかったもんじゃない。

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