初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
足元はベージュのローヒールパンプスにしたので、転ぶ心配もない。
……だが、着こなせている自信がまったくない。
(零さんの隣に並んでも、大丈夫かな?)
遥奈は一人不安に駆られていた。
機微を感じ取ったらしい零が穏やかな声音で問い掛けてくる。
「遥奈、どうしたの?」
「零さんに、せっかく今日のためにプレゼントしてもらったのに。着こなせているか、気になってしまって……」
素直に胸の内を明かせば、ふっと柔和な笑みを零した零が甘い声音で囁いてくる。
「すごく似合ってるよ。遥奈があんまり綺麗だから、このまま部屋に閉じ込めておきたくなるぐらい。だから安心してよ。ね?」
自分を安堵させるための気遣いだとわかっていても、零に言われると、胸がほわりとあたたかくなる。遥奈の頬が緩み自然に笑みが零れていた。
「ふふっ、じゃあ、閉じ込められないように、早く行かないとですね?」
「ふっ、そうだよ、だから早く行かないとね」
愛する人の言葉の威力は絶大のようだ。
そうしていよいよ取材に臨むため、零と共に、三十五階にあるエグゼクティブラウンジへと赴いたのだった。