初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる


「もう、何その他人事のような口ぶりは! 遥奈こそ、いつまでも大学時代の元カレ引き摺ってないで、一緒にイイ男捕まえて幸せにならなきゃでしょ」

 医大生の頃からの長い付き合いであるだけに、京香は遥奈の恋愛遍歴を把握している。とはいえ、一度きり。その一度きりの恋愛経験で大きな痛手を負ってしまった。

 京香の気持ちは有り難いけれど、『恋愛なんてもうこりごりだ』というのが本音だ。

「……私はいいから」

 当時の記憶が脳裏を掠めたせいで、気分ばかりか声までズンと沈んでしまった。

「なーに言ってんのよ! いつまでもそんなんじゃ、あっという間に老けて、おばあちゃんになっちゃうわよ」

 意図せず可愛くない言葉が遥奈の口からポロリと零れ落ちていく。

「年取れば老けるのは当然だし」

「だから、若さを保つためにも恋しなきゃって言ってんの! 新しい恋で女性ホルモンの分泌が活発になったら、身も心も潤って、古傷も癒えて、一石二鳥よ。患者さんばっか癒してる場合じゃないんだからね」

 京香の言わんとすることはわかる。

 けれど、そう簡単にいかないのが人の心というものだ。だからこそ、心療内科医が必要なのである。

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