初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
いつものように午前の診療を終えた遥奈は、昼休憩を取るため休憩室にいた。
同僚医師であり友人でもある浅井京香と一緒に日替わりの宅配弁当を味わった後は、コーヒーで一息つくのがルーティン化している。
遥奈はカップに注がれたコーヒーの芳醇な香りを楽しみつつ、京香から元カレの愚痴を聞いているところだ。
これも、近頃のお決まりとなりつつあった。
「アイツ、私に振られてから傷心で仕事も手につかないからって、責任とって、ヨリを戻して養ってくれって言うのよ。酷くない?」
(「責任とって」って、あの男も言ってた気がする……)
一瞬、あの男の姿が脳裏を掠めそうになって、遥奈は慌てて意識を切り替えた。
「そ、それは……酷いね。別れて正解だったとしか……」
「でしょう。もうホント、今回ばかりは自分の男運の悪さを痛感したわよ。絶対イイ男捕まえて今度こそ結婚するんだから!」
京香はサバサバした性格で、目鼻立ちがハッキリした華やか美人だ。恋愛経験も豊富で、昔から異性との話題に事欠かない。だが、ダメンズばかり引き寄せてしまうようで、今回も愚痴大会になってしまっている。
――次こそは素敵な出会いがありますように。
親友の幸せを願わずにはいられない遥奈だった。
「全力で応援してるからね」