初恋を拗らせたホテル御曹司は癒やしの女医にだけ激愛本能を滾らせる
祖父の目論見通り、インペリアル・インターナショナルは見事日本進出を成功させ、前妻の実家が営む大手不動産会社の業績も右肩上がりで、双方にとって申し分ない結果となった。
だが、不運なことに、前妻の親族が不慮の事故で亡くなり、同時に後継者を失ったのである。
新たに後継者として候補に上がったのが、前妻の忘れ形見である異母兄だ。
実母を失くしていたのもあり、異母兄は母方の祖父母に引き取られた。
当時、生まれたばかりだった零は、自動的にインペリアル・インターナショナルの正統な後継者となってしまったのだ。
よって、物心ついた頃から、望めば何でも手に入れることができた。
周囲からは、生まれながらに勝ち組だ何だと揶揄されたりもするが、それは大きな間違いだ。
実際には、生まれると同時に決められたレールの上を進むことしか許されない。
物理的なもの以外、自分の意志では、何一つ自由にできないのだから。
だが、そういう環境で育った零にとって、それが当然で、何の不満も疑問も抱かなかった。
遥奈と出逢い、いつしか芽生えていた恋情を自覚するまでは――