溶けてしまうほどの愛を貴方に
夜になると、私の部屋にはいつもあの男がいる。「こんばんは、お嬢さん」なんて決まり文句を言って、私が何も言えない間に彼……リリアンは「今日こそ、抱かせてくれるよね」と言うので、私は「お帰りください」と言うのだ。
そういえば彼はいつも「今日もだめ?」と薄笑いで言うと、「そういうあなたは毎晩自分の家を抜け出して大丈夫なんですか」と私はジト目で聞き机の前の椅子に座ろうとする。すると彼は乾いた笑い声を出しては私に近づいて、座るのを遮るように私の腰を抱き寄せて「会いきちゃだめなの?」なんて言うのだ。
「ちょっと、」と私が離れようとすると両腕の中にすっぽり入ってしまい、思わず悲鳴をあげる。リリアンは「こら、静かに」とわざと私の耳元でしーっと言う。本当に嫌な人だ。なんなんだこの人は。本当に。私は「……お願いですから、もう」と言うと、彼は「今日は帰らないよ?……一緒に寝てくれるまで帰らないから」とわざと耳元で言う。
むしろ寝るだけでいいのか、と思った私は「寝るだけでいいんですね?」と言うと、彼は「そう、一緒に」と言う。
それだけなら……なんて思った私が阿呆だった。
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