雨が降る日はジャスバーへ ――歌姫の告白――

第1話 告白

 黒のシュッとした服を着こなして、私達はステージの上に立った。

 ねぇ……レン。その席は一番良く見える、特等席なんだよ。
 
 これがあなたに送る最後のプレゼント。
 
「新曲歌います! The Path I Grabbed and Followed(私が掴んで進んだ道)」

 ピアノのからは、寂しい感情を感じさせる音色がなり、次に、心臓の鼓動のようなドラムが心を揺さぶる。トランペットを高々と鳴らし、まるで別れを告げるよに、ピアノの音を断ち切ろうとする。そして、別れの涙を流すように、ベースが加わり鳴り響かせる。

 今夜だけは、レン。あなた一人の為に歌うよ。

 私の歌声を聞いた人は、皆言う――高くて切ない歌声は、雨の日に咲く、スミレの花のようだと。

 優しくマイクを握り、出会いを想い返しならがら、歌い始める。(別れを告げる)


 Before I met you, my heart was longing to run away.
 (あなたに出会う前、私の心は逃げ出したいと切望していた)

 ​Then you came, on a rainy day.
 (あの雨の日、あなたが現れた)

 ​Your smile so lovely, so reassuring.
 (あなたの笑顔は優しく、私を包み込んでくれた)

 ​Now my sky is clear.
 (今、私の空は晴れ渡っている)

 ​Every day with you, just like a dream.
 (あなたと過ごす日々は、まるで夢のよう)

 ​But in this dream, my wish can never be.
 (だけどこの夢の中では、私の願いは決して叶わない)

 ​I wake up now, to walk my own way.
 (夢から覚めて、私は自分だけの道を歩き出す)

 ​No matter the pain, I’ll never turn away.
 (どんなに傷ついても、もう二度と引き返さない)

 I’m leaving my love behind in the world of dreams.
 (夢の世界に、愛する人を残していく)

 Goodbye, happy times.
 (さようなら、幸せな日々) 


 レンありがとう……さようなら――人生初めての告白は、別れと決意の告白だった。
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