孤独な先輩と空しか撮れない私の話。
部活動紹介で見た先輩は極定番の人気者で、ウザくて、面倒臭い。
第一印象としては最悪だったと思う。
強引に大切なカメラをぶつけてくるし、初対面でちゃん付けだし、やっぱり今、思い返してみても失礼で、距離感がおかしくて、不躾。
それでも、彼がいない日々がこんなに物足りなく感じるのはどうしてだろう。
先輩達は無事、卒業を果たし、それと同時に新入生が入ってきた。
慣れない手つきで、でも独特の審美眼で光景をカメラに収めていく。
平凡だけど、別に、つまらない日々じゃない。
なのに、心にぽっかりと大きな穴が開いているような寂しさがある。
美しい青空に何か足りない、そんな感じ。
先輩はウザいし、面倒臭いし、距離感はおかしいし、人の大切なものを傷つけようとしてきたし、嫌な奴。
なのに、いないとこんなにも寂しい。
私に彼のイケメンパワーは効かないつもりだったのに、あのニカット口角を上げるあどけない微笑みを前に、私は不覚にも彼を撮りたいと思ってしまった。
それは、もう効いたと同義。
もう、人は撮らない。
そう、2年前のあの事件が起きた日に決めた。

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