孤独な先輩と空しか撮れない私の話。
写真なんて、簡単に誤魔化せる。
その証拠に、私は被写体の奥底の苦しさを読み取れなかった。
私と彼女は小学校からのカメラ友達で、中学で別になってからも月1回くらいの頻度で会って、一緒に写真を撮り合っていた。
彼女は景色の写真を撮るのが好きで、特に、春の終わりと言えばと言って、八重桜が大好きだった。
その頃の私は人を撮るのが好きだった。
彼女にも、しょっちゅう被写体になってもらっていて、その写真は未だにアルバムに残っている。
「私、天才じゃない?」って、彼女に呆れられるほど自画自賛する位、彼女の仮初の笑顔が綺麗と思っていたし、自殺に踏み出せるほど苦しんでいるなんて夢にも思わなかった。
いつも通り、互いに撮りたい写真を撮って、家に帰った翌日、彼女は自殺したと、母親に知らされた。
「まだ捜査中って」
最後に連絡を取った人として、警察から私の家へ連絡が来て、残酷な真実を知らされた。
彼女は過酷な虐めを受けていた。
仲間外れ、陰口、物隠し、落書き、暴力。
話を聞いているだけで、吐き気を催すほど卑劣なもの。
そんな辛い感情を隠して、私は彼女に無理矢理、笑わさせていた。
「ごめんね。ごめんね」
自分の写真の出来栄えに夢中で、相手の気持ちなんて見ようともしなくて。
「表情、硬いよ」なんて、辛くて笑う余裕なんてないはずないのに、冗談混じりにダメ出しをして。
呑気に、昨日友達と遊んだって話をして。
恨みたくなる話ばかり聞かせて、相槌と共感を強要して。
私は、あれから人にカメラを向けられない。
いや、友達の感情すら分からなかった人間が向けちゃいけない。
あれから、私は彼女が好きそうな空の写真をフォルダに永遠と溜め続けている。
空を撮るのは好きというより、贖罪。
どれだけ素敵な写真を撮ったところでもういない彼女に届くわけもないのに、私はその行為をずっと続けている。

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