笑顔の仮面は君の前だけ壊れる

信じたい人

「大丈夫?」

朝比奈さんが心配そうに私の顔をのぞき込む。

「……はい。」

そう答えたものの、心臓の音は落ち着かなかった。

屋上で届いた写真。

『振り向いても、もう遅い。』

あのメッセージのことを話すべきか迷っていると、朝比奈さんが静かに口を開いた。

「最近、何か困ってることがある?」

一瞬、言葉に詰まる。

「もしあるなら、一人で抱え込まないで。」

優しい声。

その言葉だけ聞けば、頼りになる先輩だった。

でも、私は彼の目から目をそらしてしまう。

「……大丈夫です。」

その返事に、朝比奈さんは少しだけ悲しそうに笑った。

「そうか。」

その日の夕方。

営業部の課長が私を呼び止めた。

「白石さん、この書類を倉庫までお願い。」

「はい。」

人気のない資料倉庫へ向かい、扉を開ける。

薄暗い部屋には誰もいない。

棚へ書類を置こうとした、その時。

――ガタンッ。

背後で大きな音が響いた。

驚いて振り返ると、扉が閉まり、鍵が掛かる音がした。

「誰か!」

ドアノブを回しても開かない。

何度も叩く。

「開けてください!」

返事はない。

静まり返った倉庫の中で、スマートフォンが震えた。

知らない番号から届いた一通のメッセージ。

『彼は、君を助けに来るよ。』

その文字を見た瞬間、外から慌ただしい足音が近づいてきた。

「白石さん!」

聞こえてきたのは、朝比奈さんの声だった
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