PRIMUS ―推しの家に家事代行として通ったら、毎日が幸せすぎます!―
雪くんが隣にいてくれる。
それだけで、ひなたくんは一人じゃない。
「……二人とも、飲み物とかどうかな?」
雪くんの表情が、ほんの少しだけ和らいだ。
私と目が合うと、小さく笑う。
「僕は、紅茶もらおうかな」
「……じゃあ、俺も」
ひなたくんは相変わらず表情が薄い。
それでも、自分からそう答えてくれた。
その一言に、胸を撫で下ろした。
「じゃあ、お茶入れてくるね〜」
ひなたくんの傍には、雪くんがいる。
二人を雪くんに任せ、私はキッチンへ向かった。
ケトルにお湯を注ぎ、紅茶を淹れていく。
二人とも、きっと何も口にしていない。
少しでも食べてくれたら。
そんな小さな願いを込めて、カップの横にチョコレートを三粒ずつ添えた。
トレーを両手で持ち、こぼさないよう気をつけながら、ひなたくんの部屋へ向かう。
再び二回ノックをしてから、静かに扉を開けた。
「おかわりもあるから、欲しかったらいつでも言ってね!」
いつもなら賑やかな部屋は、今は静まり返っている。
二人は力なく頷くと、
「……ありがとう」
小さく声を重ねた。
< 367 / 384 >

この作品をシェア

pagetop