PRIMUS ―推しの家に家事代行として通ったら、毎日が幸せすぎます!―
呼吸を整え、ゆっくりとドアを開く。
ベッドに、ひなたくんの姿はなかった。
胸がざわつき、慌てて部屋を見渡す。
すると、部屋の隅で、虚ろな目のまま座り込むひなたくんの姿が目に入った。
雪くんが小走りで駆け寄る。
「ひなた!」
呼びかけても、ひなたくんはぴくりとも反応しなかった。
ひなたくんは焦点の合わない目で、何もない宙を見つめたまま動かない。
雪くんは目の前で何度も手を振る。
それでも、ひなたくんはぴくりとも反応しなかった。
私は何が起きているのか確かめるように、一歩、また一歩と近づく。
そっと肩へ手を伸ばえ、軽く叩いた。
その瞬間、ひなたくんの身体がびくりと震えた。
やがて、焦点の定まらなかった瞳がゆっくりと私たちを映す。
「……あ。……二人とも、何をしているの?」
雪くんはその場で動きを止めた。
ほっとしたように息を吐く。
次の瞬間、堪えていた涙があふれ、ひなたくんをぎゅっと抱き締めた。
「……ひなた。今日は、一緒に寝てもいい?」
「……あ、うん」
その返事を聞いた瞬間、張りつめていた肩の力が抜ける。
少しだけ。
本当に少しだけ、大丈夫なんじゃないかと思えた。
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