その食べ方が好きなんです
 難しい顔でこちらを見る。ああ、またミスしたのかしら。

 最近、指摘されるのが三日にいっぺんくらいになってきた。それでも必ず打ち合わせ室で指摘してくれる。別にみんなの前でもいいのに。

 * * *

 あの日から、紺野が社食で俺を見ているのが何か話したいことがあるからではないと気づいた。

 紺野の様子が気になって、彼女を社食で探すようになったのだ。

 すると、なぜだか、必ず俺のあとに社食へ来て、偶然かもしれないが俺の斜め前に必ず座る。

 翌日も、その翌日も、隠れるようにして俺の斜め前の席に必ず座り、どこか俺の口元辺りを見て満足げに自分も食事をしているようだった。

「どういうことだ?」

 そういえば、誕生日ケーキの時も俺が食べたいものを聞いてきて、席で間食してほしいと言った。

 いつも俺がチーズケーキを食べているのを嬉しそうに見つめている。見つめているのは、そう、目ではなく、その下の部分。

 だからほとんど目が合わない。

 もしかして俺のことが好きなのか?いや、どうも俺の周りを徘徊している女子とは視線が違う。

 まさか、古賀のことが好きなのか?そんなはずはない。

 古賀はわかりやすく紺野に絡んでいるが、彼女にその気がないのは俺にも気づいていた。

 そんな風になぜか毎日紺野のことが気になり始めた頃、出張した。

 彼女が俺を見ながら満足げに食事をしている顔が夢にも出て来て、自分の気持ちに少し気づいた。そんな時だった。

 出張から帰って来て、やっと昼休み。紺野はいつものように俺の斜め前に陣取った。そして俺を見つめているはずだった。

 確かに、俺のことも見てはいた。

 だが、彼女の視線が、たまに違う方へ向いていることに気づいた。しかも特定の人間を見ている。

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