笑顔の可愛いキミは、俺にとって高嶺の花
 *

 駅前の神社は割と規模も大きく、最後には花火も上がる。
 たまたま夏祭りというイベントを行きの電車広告で知った俺は、それをダシに香菜をデートに誘ってしまった。
 デートなんていうと変な感じだが、結局のところただの寄り道。

「え、すごーい!屋台めっちゃいっぱい!」
「結構人多いな」

 想像の倍は人が溢れていた。
 人に対して歩道は狭く、屋台も置かれているからか人が密集して凄いことになっている。

 人混みが苦手な俺は抵抗感で目尻がピクピクと痙攣した。
 だが、ここで帰るのはあり得ない。
 こんなチャンスは2度とないのかもしれないから。
 
 制服のまま、香菜と二人で屋台を巡る。
 どれもこれも美味しそうだという彼女が買ったのは結局、ベビーカステラときゅうりの一本漬け。

「……組み合わせ意味わかんねぇな」
ほぅ?(そう?)
「食べてから喋れ」
「ん」

 ハムスターのように頬に食べ物詰める姿は撫でてしまいそうだ。
 自分も買ったきゅうりをパキッと齧りながら、その場で立っているとどこからパァン!と弾くような音が聞こえ始める。
 周りもそれに気づいたのかこぞって、みんな見える位置に移動し始めた。

「わ!?」
 香菜は人に押され持っていた割り箸を落とす。
 拾い取ろうにも人に流され始めて離れ離れになりそうだった。

「香菜!」
 
 俺は咄嗟に彼女の手を掴んだ。
 
 周りは人混みで押され、彼女の顔は見えなかったが俺は必死にその場から連れ出そうと道を切り開きながら彼女の手を引く。

 香菜もそれを理解したのか一方的だった握手は手繋ぎへと変わり、互いにしっかりと手を握り合う。

 心臓が感じたことない速さで脈を打つ。
 喉から全てが出てしまいそうなほど緊張していた。
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