観察日記をしていたら


すると、電話の向こうで先生が震える声で言った。


「……すぐにその部屋から出ろ。窓を全部閉めて、鍵をかけろ」


俺は「え?なんでですか?」と聞き返したが、先生は絶望したような声でこう続けた。


「その種はな……『生きた人間の吐息(二酸化炭素)』を至近距離で浴び続けないと、絶対に羽化しないんだ。私はお前に、学校の無人
の実験室で育てるよう言ったはずだぞ……」


俺は部屋のドアに向かおうとしたが、ふと、ある違和感に気づいて足を止めた。


飼育ケースは、俺の机の上にある。

でも、俺は部活や塾で、毎日夜遅くまで家にいなかったはずだ。





< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop