距離感がおかしい後輩に懐かれているが、特に困ってはいない
第17話 距離感がおかしい後輩と引っ越し準備した件
私、茜時子は、後輩の九段坂真墨と同居することになった。
「引っ越しするにあたり、荷物を整理しないとな」
「俺も手伝います!」
いつの間にか家に来ていた九段坂と一緒に、荷物を梱包する。
九段坂はやたらと手際が良く、テキパキと準備を進めていった。
「先輩、ベッドの裏にぬいぐるみが落ちてますから、その子も忘れずに救出して連れて行ってあげましょうね」
「おお、よく知ってるな」
当の私ですら気付かなかったことを、九段坂はよく知っている。
「梱包材も用意してあります! 四重くらいに巻いておきましょう」
「用意周到だな」
九段坂が私の愛用しているぬいぐるみをしっかり保護してくれるのを見ると、大事にしてくれるんだなと思った。
「先輩の荷物リスト、過去の会話から推定して作ってあります!」
「推定って何?」
「去年の冬、12月27日の午前11時36分に『加湿器ほしいな』って言ってたので」
「記憶力すごいな君」
九段坂は本当に何でも覚えている。
今度、機会があったら記憶法を教えてほしいかもしれない。
荷物をまとめた私たちは、約束の時間にやってきた引越し業者に荷物を預けて、自分たちも引越し先に向かうことにした。
「俺が案内しますね!」
「うん? 前回行った九段坂くんの家に行くんじゃないのか?」
「新しい住居を手配しておきました!」
「いつの間に」
九段坂に連れられていった先は、前回の家よりもずっと広い。
「俺のアパート、1Kだったので、先輩のプライベート空間も必要だと思いまして」
「それはそうだな」
新しい住居は、いくつか部屋がある。
そのうちのひとつを、私専用の個室として割り当てられた。
「職場から徒歩7分、スーパー2分、治安も確認済みです」
「いつ調べたんだい?」
「先輩が『一緒に暮らすのも吝かではない』って言った日からです。物件候補は、その日のうちに30件ほどリストアップしました」
九段坂、結構真剣に考えていてくれたんだな。
彼の本気度が見える。
いや、彼はいつだって全力投球だが。
引越し業者が置いていってくれた荷物を2人で開封していく。
「九段坂くんの荷物多くないか?」
「先輩とペアのグッズ揃えたら多くなっちゃいました。ペアのマグカップ、ペアの歯ブラシ、ペアのテレビ」
「テレビは居間で一緒に見ればいいのでは?」
ペアのテレビってあんまり聞いたことないな……。
九段坂は静かに首を横に振った。
「同じ番組を、同じ時間に、別の部屋で見るんです」
「なんで?」
「精神的同居です」
「あのね、九段坂くん」
私は小さく笑う。
「私たちはもう同居してるから、一緒の時間を増やしてもいいんじゃないか?」
「先輩……!」
九段坂が感激からか、頬を紅潮させ、目を潤ませてこちらを見ていた。
……可愛い。
そんな会話をしながら荷物の整理を終える頃には、とっぷりと日が暮れている。
2人で居間に置いたテーブルで夕食を取ってから、テレビを見ていた。
「いよいよ先輩との同棲生活が始まる……! 日記に書いておかないと」
「君、日記とかつけてるんだ。まめだね」
「俺達の生活はここからだ、と……」
「打ち切りフラグになるからやめようか」
「ここから第二部開始、と」
「シリーズになっちゃったか~」
そんな胡乱な会話をしつつ、同居生活がスタートするのである。
「引っ越しするにあたり、荷物を整理しないとな」
「俺も手伝います!」
いつの間にか家に来ていた九段坂と一緒に、荷物を梱包する。
九段坂はやたらと手際が良く、テキパキと準備を進めていった。
「先輩、ベッドの裏にぬいぐるみが落ちてますから、その子も忘れずに救出して連れて行ってあげましょうね」
「おお、よく知ってるな」
当の私ですら気付かなかったことを、九段坂はよく知っている。
「梱包材も用意してあります! 四重くらいに巻いておきましょう」
「用意周到だな」
九段坂が私の愛用しているぬいぐるみをしっかり保護してくれるのを見ると、大事にしてくれるんだなと思った。
「先輩の荷物リスト、過去の会話から推定して作ってあります!」
「推定って何?」
「去年の冬、12月27日の午前11時36分に『加湿器ほしいな』って言ってたので」
「記憶力すごいな君」
九段坂は本当に何でも覚えている。
今度、機会があったら記憶法を教えてほしいかもしれない。
荷物をまとめた私たちは、約束の時間にやってきた引越し業者に荷物を預けて、自分たちも引越し先に向かうことにした。
「俺が案内しますね!」
「うん? 前回行った九段坂くんの家に行くんじゃないのか?」
「新しい住居を手配しておきました!」
「いつの間に」
九段坂に連れられていった先は、前回の家よりもずっと広い。
「俺のアパート、1Kだったので、先輩のプライベート空間も必要だと思いまして」
「それはそうだな」
新しい住居は、いくつか部屋がある。
そのうちのひとつを、私専用の個室として割り当てられた。
「職場から徒歩7分、スーパー2分、治安も確認済みです」
「いつ調べたんだい?」
「先輩が『一緒に暮らすのも吝かではない』って言った日からです。物件候補は、その日のうちに30件ほどリストアップしました」
九段坂、結構真剣に考えていてくれたんだな。
彼の本気度が見える。
いや、彼はいつだって全力投球だが。
引越し業者が置いていってくれた荷物を2人で開封していく。
「九段坂くんの荷物多くないか?」
「先輩とペアのグッズ揃えたら多くなっちゃいました。ペアのマグカップ、ペアの歯ブラシ、ペアのテレビ」
「テレビは居間で一緒に見ればいいのでは?」
ペアのテレビってあんまり聞いたことないな……。
九段坂は静かに首を横に振った。
「同じ番組を、同じ時間に、別の部屋で見るんです」
「なんで?」
「精神的同居です」
「あのね、九段坂くん」
私は小さく笑う。
「私たちはもう同居してるから、一緒の時間を増やしてもいいんじゃないか?」
「先輩……!」
九段坂が感激からか、頬を紅潮させ、目を潤ませてこちらを見ていた。
……可愛い。
そんな会話をしながら荷物の整理を終える頃には、とっぷりと日が暮れている。
2人で居間に置いたテーブルで夕食を取ってから、テレビを見ていた。
「いよいよ先輩との同棲生活が始まる……! 日記に書いておかないと」
「君、日記とかつけてるんだ。まめだね」
「俺達の生活はここからだ、と……」
「打ち切りフラグになるからやめようか」
「ここから第二部開始、と」
「シリーズになっちゃったか~」
そんな胡乱な会話をしつつ、同居生活がスタートするのである。