距離感がおかしい後輩に懐かれているが、特に困ってはいない
第18話 距離感がおかしい後輩と同居生活が始まった件
引っ越しを終えて、九段坂との同居生活が始まった。
私はいつも通り、朝の6時に目を覚ます。
眠い目をこすり、居間に来ると、食欲をそそる香りが漂っていた。
「あ、先輩。おはようございます」
エプロンをつけた九段坂が微笑みかける。
「おはよう。これはすごいな」
食卓に広げられていたのは、まるでカフェの朝食メニュー。
「とろとろ半熟卵のクロックマダムと、サーモンのハーブプレート、こっちはアサイーボウルです」
「めちゃくちゃ凝ってる……。かなり時間かけてるんじゃないのか」
「朝の3時から仕込みをしてました」
「あのね……これから毎日これを用意してたら身が持たないよ」
「先輩のためならなんのこれしき」
九段坂はフンス、と鼻を鳴らした。
そのやる気を削ぐのは申し訳ないが……。
「持続可能性は大事だよ。私もこの生活続けたいし」
私の言葉に、彼は目をパチパチさせている。
「……先輩、この生活を続けてくれる前提なんですね」
「え、うん」
「先輩がそう言うなら、もう少し負担を軽くします」
九段坂は、なんだか嬉しそうだった。
朝食を終えたら、出勤に向けて準備を始める。
「先輩、シャツにアイロンかけておきました」
「助かる」
「ついでにスーツの襟にGPSつけておいたので、もし家までの道わからなくなっても迎えに行きますから」
「え? 君が一緒にいてくれるだろ?」
「先輩って、ときどき天然で口説いてきますよね……」
九段坂はなぜか額に手を当てて天を仰いでいた。
そんなやり取りをしながら準備を済ませて出かける。
2人で家から会社まで出勤するのは初めてだ。
これで道を覚えるのも兼ねている。
「先輩、ここ工事中なのでこっち歩きましょう」
「大丈夫だろう」
「鉄骨とか落ちたら危ないですから」
「大袈裟だな」
まあでも、ありえない話ではないからな……。
「先輩の頭上の安全は俺が守ります」
九段坂の言葉に、思わず口元が緩んだ。
「それなら、もう少し近くに来てもいい」
「先輩っ……」
九段坂の袖を小さくつまむと、彼は赤面して私を見つめる。
うん、今日も可愛らしい後輩だ。
「……会社では、あまり他の人にそんなことしないでくださいね」
「しないよ、相手いないし」
私たちは肩が触れ合うくらいの距離で並んで歩いていく。
「九段坂くんと同棲してるんだって? 式挙げるのいつ?」
同僚にそう聞かれて、私はキョトンとしてしまった。
「式……? 同棲式とかあるのか、初耳だな」
「え?」
「ん?」
同僚と私、2人で顔を見合わせ、首を傾げ合う。
「せんぱーい! お弁当作ってきたので一緒に食べましょ!」
九段坂は相変わらず機嫌が良さそうだった。
「今行く……お重は食べ切れるか微妙だぞ」
「会社に花見に来てるみたいな量だね……」
同僚は若干引き気味に、3段のお重を見る。
私は昼休み中にこれを片付けられるのか考えていた。
……まあ、食べきれなかったら九段坂に責任を取ってもらおう。
私はいつも通り、朝の6時に目を覚ます。
眠い目をこすり、居間に来ると、食欲をそそる香りが漂っていた。
「あ、先輩。おはようございます」
エプロンをつけた九段坂が微笑みかける。
「おはよう。これはすごいな」
食卓に広げられていたのは、まるでカフェの朝食メニュー。
「とろとろ半熟卵のクロックマダムと、サーモンのハーブプレート、こっちはアサイーボウルです」
「めちゃくちゃ凝ってる……。かなり時間かけてるんじゃないのか」
「朝の3時から仕込みをしてました」
「あのね……これから毎日これを用意してたら身が持たないよ」
「先輩のためならなんのこれしき」
九段坂はフンス、と鼻を鳴らした。
そのやる気を削ぐのは申し訳ないが……。
「持続可能性は大事だよ。私もこの生活続けたいし」
私の言葉に、彼は目をパチパチさせている。
「……先輩、この生活を続けてくれる前提なんですね」
「え、うん」
「先輩がそう言うなら、もう少し負担を軽くします」
九段坂は、なんだか嬉しそうだった。
朝食を終えたら、出勤に向けて準備を始める。
「先輩、シャツにアイロンかけておきました」
「助かる」
「ついでにスーツの襟にGPSつけておいたので、もし家までの道わからなくなっても迎えに行きますから」
「え? 君が一緒にいてくれるだろ?」
「先輩って、ときどき天然で口説いてきますよね……」
九段坂はなぜか額に手を当てて天を仰いでいた。
そんなやり取りをしながら準備を済ませて出かける。
2人で家から会社まで出勤するのは初めてだ。
これで道を覚えるのも兼ねている。
「先輩、ここ工事中なのでこっち歩きましょう」
「大丈夫だろう」
「鉄骨とか落ちたら危ないですから」
「大袈裟だな」
まあでも、ありえない話ではないからな……。
「先輩の頭上の安全は俺が守ります」
九段坂の言葉に、思わず口元が緩んだ。
「それなら、もう少し近くに来てもいい」
「先輩っ……」
九段坂の袖を小さくつまむと、彼は赤面して私を見つめる。
うん、今日も可愛らしい後輩だ。
「……会社では、あまり他の人にそんなことしないでくださいね」
「しないよ、相手いないし」
私たちは肩が触れ合うくらいの距離で並んで歩いていく。
「九段坂くんと同棲してるんだって? 式挙げるのいつ?」
同僚にそう聞かれて、私はキョトンとしてしまった。
「式……? 同棲式とかあるのか、初耳だな」
「え?」
「ん?」
同僚と私、2人で顔を見合わせ、首を傾げ合う。
「せんぱーい! お弁当作ってきたので一緒に食べましょ!」
九段坂は相変わらず機嫌が良さそうだった。
「今行く……お重は食べ切れるか微妙だぞ」
「会社に花見に来てるみたいな量だね……」
同僚は若干引き気味に、3段のお重を見る。
私は昼休み中にこれを片付けられるのか考えていた。
……まあ、食べきれなかったら九段坂に責任を取ってもらおう。