後宮のすみっこには天才薬師がいるらしい ~いないもの扱いだった人質の私、趣味の調薬で国を救って正体がバレました~
「なんで素直に「お願いします」が言えないのかしら。そのせいで大変な目に遭うのは誰だと思ってるのかしら!」
鼻息荒く憤るレイラと恐縮するマイクにお代わりの紅茶を注ぎながら、(それよりも一介の商人の話がトップまで筒抜けって、北の砦って風通しが良すぎやしないかしら?)とユリアはこっそり思った。
「結局、最大の問題は干ばつの影響で起こってる飢饉なんだよね。どうにかできないのかしら?」
ひとしきり怒りを発散させた後、レイラは渇いたのどを潤しながら首を傾げた。
「食糧支援などをするにしても、受け入れる体制がないことにはどうにもなりませんしね。要望もないのに、他国のことに勝手に口を出す事もできません」
少し困ったように答えるユリアに、レイラは、そうよねと口をつぐむ。
「・・・・・民間同士、でもだめ?」
少し考えた後、レイラは顔をあげた。
「それは…、どうでしょうか?そんな話は聞いたことがありません。そもそも国を越えて一地域を助ける規模の財を持つ者も、運ぶ伝手もないですし・・・・・」
首をかしげるユリアに、レイラは、半ば宙を見上げつつ思案顔で言葉を続ける。
「例えば、ね。一人ひとりの力は弱くても、みんなで力を合わせてはどうかしら」
「・・・・・みんなの・・・・で、ございますか?」
「そう。さっき、マイクさんの話を聞いてて思ったのよね。こんなこと可笑しいって、思ってる人ってたくさんいるんじゃないかなって。でも自分の力じゃどうすることも出来ないって悲しんでる人。
だけど、例えばさ。
一人の人が用意できるのはパンひとつでも、10人いれば10個。100人いれば100個になるでしょう?荷車だって、ひとつしか用意できなくても、そんな人が集まれば100台になるかもしれない」
「・・・・・それは・・・・」
どこかぼんやりとした瞳で語られるそれは、まるで夢物語のようだった。
個人のささやかな善意が誰かの命を救う。
「教会の慈善事業を国を越えた規模でやろうというのですか?」
驚いたようなマイクの声に、レイラはぼんやりとしたまま視線を向ける。
「教会……そうね、教会の炊き出しみたいな……ああ、でも駄目ね。教会では国や地域によって信仰する神様が違ったりするもの。それでは軋轢が起きてしまうわ。何か……だれか………たくさんの人に慕われて、国を越えた影響力もある人………」
つぶやき考え込むレイラに、残された二人は顔を見合わせた。
鼻息荒く憤るレイラと恐縮するマイクにお代わりの紅茶を注ぎながら、(それよりも一介の商人の話がトップまで筒抜けって、北の砦って風通しが良すぎやしないかしら?)とユリアはこっそり思った。
「結局、最大の問題は干ばつの影響で起こってる飢饉なんだよね。どうにかできないのかしら?」
ひとしきり怒りを発散させた後、レイラは渇いたのどを潤しながら首を傾げた。
「食糧支援などをするにしても、受け入れる体制がないことにはどうにもなりませんしね。要望もないのに、他国のことに勝手に口を出す事もできません」
少し困ったように答えるユリアに、レイラは、そうよねと口をつぐむ。
「・・・・・民間同士、でもだめ?」
少し考えた後、レイラは顔をあげた。
「それは…、どうでしょうか?そんな話は聞いたことがありません。そもそも国を越えて一地域を助ける規模の財を持つ者も、運ぶ伝手もないですし・・・・・」
首をかしげるユリアに、レイラは、半ば宙を見上げつつ思案顔で言葉を続ける。
「例えば、ね。一人ひとりの力は弱くても、みんなで力を合わせてはどうかしら」
「・・・・・みんなの・・・・で、ございますか?」
「そう。さっき、マイクさんの話を聞いてて思ったのよね。こんなこと可笑しいって、思ってる人ってたくさんいるんじゃないかなって。でも自分の力じゃどうすることも出来ないって悲しんでる人。
だけど、例えばさ。
一人の人が用意できるのはパンひとつでも、10人いれば10個。100人いれば100個になるでしょう?荷車だって、ひとつしか用意できなくても、そんな人が集まれば100台になるかもしれない」
「・・・・・それは・・・・」
どこかぼんやりとした瞳で語られるそれは、まるで夢物語のようだった。
個人のささやかな善意が誰かの命を救う。
「教会の慈善事業を国を越えた規模でやろうというのですか?」
驚いたようなマイクの声に、レイラはぼんやりとしたまま視線を向ける。
「教会……そうね、教会の炊き出しみたいな……ああ、でも駄目ね。教会では国や地域によって信仰する神様が違ったりするもの。それでは軋轢が起きてしまうわ。何か……だれか………たくさんの人に慕われて、国を越えた影響力もある人………」
つぶやき考え込むレイラに、残された二人は顔を見合わせた。